一方、法案をシミュレーションしてみると、公務員やメディアにとどまらず、市民生活にも重大な影響を及ぼしそうなのだ。一体どんなことが起こるのか。
「同法案は民間人も処罰の対象に含まれているため、一般人が書いたことや聞いたことが結果的に“特定秘密だった”ということもありうる。例えば原発情報。反原発の市民団体が調査をし、ネットで発表するとする。しかし、原発に依存する政府の政策と異なるため、原発情報を漏えいした公務員もしくはそれに準ずる者と、漏らすよう示唆した市民団体のメンバーが逮捕されることもあるわけです」(社会部記者)
省庁と契約した企業の社員も罰則の対象になる。もし特定秘密だと認識し、第三者が社員に近づいて秘密を聞き出したと判断されれば、第三者も罪を問われる可能性がある。通報は一般市民もできるため、密告が盛んに行われる可能性もあるのだ。
「米国ではCIA職員やウィキリークスによる国家機密が際限なく漏洩してしまった。そうした漏洩には、日本で得た機密もあるといいます。特定秘密保護法案が閣議決定されたのは、日本に対して秘密が漏れないように米国側の要請があったからです。それに加え、内閣の顔ぶれがコロコロ変わるのは高級官僚によるスキャンダルのリークが多いわけで、これを防ぎたいという安倍首相の思いがある。シミュレーションは杞憂に過ぎると思うが、絶えず監視する必要がありますね」(ジャーナリスト・窪田順生氏)
権力の暴走だけは勘弁。