まずは給与面から見てみよう。エリアにもよるが、募集広告では月給30万円以上といった表記も珍しくない業界だけに、かなりの高額所得も夢ではないように思われるが、実動は8〜10時間ほどの立ち仕事で、休日はせいぜい週1〜2日。賞与は無いに等しく、往復の電車通勤は不可能なのに交通費が支給されないこともある。新宿歌舞伎町の某キャバクラ店長氏に匿名で話しを聞いてみると、「実際には求人広告に書いてある満額は出せません。初任給は手取りで20万円程度、研修期間が終わって25万円くらい。帰りは送りの車も使えますが、交通費は基本的に自腹」というから、かなり過酷な職場であることがわかる。キャバクラ好きが高じて転職した場合、自身の遊ぶ時間が抑えられる分だけ、お金は残るかもしれないが、決して割りのいい仕事とは言えないだろう。
仕事内容も、華やかさとはまったく無縁だ。フロアでの案内や飲み物を運ぶといった業務だけではなく、開店前・閉店後の店内清掃や路上での呼び込み、備品の買出しといった雑用まで、実に幅広く地味な作業がメインになるため、一般的な会社員よりも歯車的な労働を強いられることになる。幹部や店長になれば、管理職なのである程度の雑用からは開放されるものの、従業員のシフト管理や面接官、仕入れ・在庫管理、広告営業とのやりとりなど、売上げ向上のための様々な店舗経営責任も負うことになるので、多忙さは新人の比ではない。
ちなみに、幹部や店長といった地位まで出世すれば、もちろん収入は上がる。前出の店長氏に収入を聞いてみたところ、「細かいことは言えませんが(笑)、色々な手当てなど合わせて、手取りで50万円ほど」と、なかなかの高収入。ところが、「人間関係を潤滑にしないといけないので、従業員や女のコに食事を奢ったりする必要もあり、そういった福利厚生費はポケットマネー」だというから、実際の手取り収入はもっと低くなるのだそうだ。
キャバクラで直接的に客を楽しませてくれるのは、もちろん女のコたちなのだが、過酷な労働条件の男性従業員たちが、裏方で様々な努力と演出をしてくれているおかげでもある。そんな彼らに、心の中で「お疲れ様」と言ってあげても、バチはあたらないというものだ。
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