前出の全国紙政治部記者がこう続ける。
「つまり、橋下氏が考えているのは、『大阪維新の会』からの出直し策と見られている。周知の通り、橋下氏は旧『太陽の党』と合併。『日本維新の会』の看板を掲げたが、最近は石原慎太郎共同代表にやられっぱなしで、内部対立が深刻化している。ゆえに、合併を解消。大阪維新系議員らが“党内に巣くう癌”とまで呼ぶ、旧『太陽の党』議員らをついに叩き出すのでは、と見られているのです」
ちなみに、以前から内部分裂が囁かれていた『日本維新の会』内の対立は、ここにきて加速化し始めている。例えば、原発をめぐる対応では昨年末に党内部で両院議員総会が開かれたが、この時も両派の議員らが激突し、大紛糾を招いたほどなのだ。
「問題となったのは、安倍政権が進めるトルコへの原発輸出協定です。橋下氏は出席していないが、原発容認派の石原共同代表が『橋下君と話し合ったが、彼は基本的に原発輸出に賛成だ』と発言すると、橋下派大幹部の馬場伸幸衆院議員が、『橋下代表が賛成することはあり得ない!』と猛反発。大阪維新系議員らが拍手喝采したほどなのです。さらにその後、平沼赳夫国会議員団代表が『後日改めて議論する』となだめたが、数の多い大阪維新系議員らは『多数決で決議しろ!』と息巻いたほどなのです」(前同)
また、露骨な対立はこれだけにとどまらない。石原氏の後任である猪瀬直樹前都知事が、医療法人『徳洲会グループ』からの不透明な現金授受で辞任し、現在、政界では都議選候補の擁立が急ピッチで進められているが、石原氏と平沼氏がほぼ独断で元航空幕僚長の田母神俊雄氏を支援表明。これが原因で、さらに内部対立が激化しているのだ。
「後の会見で、橋下代表は『維新政党としてはあくまで自主投票』と強調したが、石原氏のやり口はあまりに人を食った手法と評判。なぜなら、石原氏は『田母神支援の了解を橋下君に取り付けた』と誇示しているが、電話で伝えただけ。ほとんど事後承諾状態だったために、大阪維新系の議員らが痛烈批判に転じている。『もはや、政治的見通しができない独裁者を追い出すべき』とする意見が蔓延し、爆発寸前の状態なのです」(大阪維新の会系議員)
つまり、橋下氏は石原共同代表のやりたい放題の行いを批判こそしないものの、もはや党内が収拾のつかない状態だということを痛切に認識。これが原因で、「馬謖を切る時期が迫ってきた」と見る向きが、メディア界に増殖し始めているというわけだ。
在阪の政治部記者が言う。
「たかじんさんは『出演番組が東京に流れるなら、番組を降りる!』と息巻いたほどの大の東京嫌い。橋下氏にもたびたび『東京(中央政界)のことは、ひとまず置いとけ』『大阪のことは大阪のヤツにしかわからん』などと諭した話もあり、その発言は維新の惨状を目の当たりにしている橋下氏にも響いている。それゆえ、裸一貫、『大阪維新の会』からの出戻りが期待され始めているのです」