砂で味わった初めての屈辱。だが、ショックよりも将来への展望が開けたことの方がはるかに大きかった。世代間闘争にメドを立てたサクセスブロッケンが、世界の舞台で統一王者に照準を定めた。
前走のJBCクラシック、ダートの連勝記録は「5」でストップしたものの、勝ち馬との着差はわずかにクビ。「ヴァーミリアンが強いのはわかった。ただ、負かせない相手ではないし、その手応えもつかんだ」と藤原英調教師は不敵な笑みを見せた。
レースでも道中からハナに立たされ、徹底マークに合う厳しい流れとなった。レコード決着となる速い流れを自らつくりながら、最後の直線ではヴァーミリアンを差し返そうとするしぶとさを見せた。
何より、ブロッケンにはヴァーミリアンにない若さがある。成長力がある。「夏を越してから馬体が一段と大きくなってきた。前走で体が増えていたのもほとんどが成長分。無駄肉がそげ落ちて、実が入ってきた」。藤原助手は充実期に入った愛馬に目を細めた。
これまでダート戦では<5100>とほぼ完ぺきな数字を残してきた。しかも、福島、中山、東京、京都、そして、地方の大井、園田と毎回、形態の違う競馬場で…。むろん、初の阪神コースへの不安もない。
「精神面が強く、どこへ行っても自分の力を発揮できる。今回は阪神にかわるけど、前走に比べて広いコースになる分、プラス材料」と藤原助手は余裕の表情を浮かべる。
打倒ヴァーミリンに向けての成長力、そして勢いも加速した。あとはその瞬間を待つだけだ。
「この中間はあの馬を負かすつもりでケイコもビッシリやってきた。状態に関しては今までの中で一番。あとは横山典騎手に任せるだけ」
長くダート王者として君臨したヴァーミリアンを倒して、悲願の世代交代へ。革命児サクセスブロッケンがいよいよその頂に君臨するときがきた。