「オグリ1着!オグリ1着!」1990年、感動と興奮に包まれたオグリキャップの「第35回有馬記念」から、もう16年も経つ。トウカイテイオーの復活、シンボリクリスエスの連覇など、その後も数々のドラマを生んでいるグランプリ。今年はディープインパクトの最終章として、異様な注目を集めている。
そのディープは昨年、ハーツクライに敗れた。敗因は雪による調整の狂いと陣営はいう。しかし、栗東にいる馬は、みんな雪に遭っている。それを直接的な敗因とするなら、勝ったハーツ陣営を称えるべきだろう。
状態に起因することより、最たる敗因は中山コースでは本来の「飛ぶ」ディープを見れないこと。それは直線が短く、急坂がある独特のコース形態が考えられる。
直線入口から上り、坂を上がりきってすぐにゴール。これでは、長く鋭い脚を使うディープの持ち味を封印してしまう。それを証拠に過去3回中山では走っているが、上がり3Fで34秒を切ったことがない。
今年はアドマイヤメインが大逃げ宣言をし、ハイペースは必至。その経験も少なく、しかも有力先行馬がこれだけそろっているレースは初めてのこと。決して今回のディープは絶対的な存在とはいえないのだ。
ディープを負かす可能性があるのは、やはり昨年のハーツのように、ディープより前にいる馬。あるいは中団にいてもディープと違い、内々で我慢できる器用さのあるタイプ。いずれかだ。
昨年、早めに動き、ディープと0秒4差に頑張ったコスモバルクは当時より様々な面で成長した。中山は最も得意なコース。今のデキなら、打倒ディープも夢ではない。