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AVキャバ嬢の受難 ビンボーAV女優に札束を切る客と逆に金を無心する客の憂鬱さ

 <短絡と軽佻さを絵に描いたような勘違い男の実態>
 西川口・水咲けい(仮名・24歳)
 
 AV女優が金を持っているというのはもはや幻想だ。かつてはそうだったかもしれないが今は違う。例えばレンタルより格下の企画単体女優。知名度によって幅はあるが1本100万円なら御の字。女の子の手取りはもっと少ない。しかもコンスタントに撮影があるわけではない。月に数本出られるのはよっぽどの売れっ子か、逆に単価が安いかである。完全な企画系だと割合仕事の数はあるが、1本当たり手取りで3〜10万円が相場。
 皆、他に風俗嬢やOL、主婦などと別の顔がある。普段は所属事務所で経理をしているAV女優もいるくらいである。AVだけで食べていけるのは極僅かだ。
 なので、キャバクラにAV女優がいたからといって、お金を持っていると思わない方がいい。逆に金にならない半端な仕事に引っ張り出され、キッチリ働けないビンボーなAV女優もいる。何ならキャバ一本の方が儲かるかも。西川口のキャバクラ『H』の水咲けいさん(仮名・24歳)。彼女も食えないAV女優の一人。

 というか、AVはあくまでバイトのつもりなのだが、世間はそうは見てくれないので時折しょんぼりしている。「知り合いがAV事務所を経営してるんだけど、3か月に2本くらい出ている。それで入るギャラは1本あたり12〜13万円くらい。女の子何人かのうちの一人っていうポジションで、完全に企画だけど痴女ができて、アドリブもこなせるから、色をつけてもらってると思う」AVの収入は3か月でざっと25万円なり。完全に副収入の範囲だろう。
 「本職はお水です。でもそうは問屋が卸さないっていうか、やっぱバカな男とかいて、接客している途中でいきなり“…で、いくらでヤラせてくれんの?”とか言い出す始末。えっ? って感じです」札束で頬っぺたを叩くような真似をしてみたい男が実際いるようで、「俺、金持ってっから100万、200万ならすぐ出せるけど」などと真顔で言い出したりするから頭が痛い。
 「いや〜こっちは一発単価安いんで。100万、200万なんてもらい過ぎですよ〜、なんて言ってみたりしますけどね(笑)」そんなお金があるのならソープに数回通って豪遊できる。その方がテクもサービスも満足できますよ…と、ニッコリと嫌味半分でオススメ店を紹介してあげることも。「ホント、こんな“AV女優”をお金で買ってどうすんだってね。しかも相場が異常に高いっていう。逆にバカみたい」

 <金を貸してくれと頼む勘違いな客たち>
 また、言うに事欠いて、「けいちゃんAVやってんだもんね、俺なんかよりお金いっぱい持ってるもんね」と勝手に卑屈になる客。これはこれで気が滅入る。「皆さんプレゼントくれないんですよ、別に欲しいわけじゃないけど、自前で何でも買えるだろうと思ってるみたいで、上げてもありがたがらないと思ってる節がある。ありがたがるっての!」
 しかし、何と言っても、一番分からないのが、お金を貸してくれという客。しかも少なくないから恐ろしい。「付き合いだしてから、金づる扱いされるなら分かる。百歩譲ってエッチしちゃってから切り出されるならまだ分かる。でも、借金申し込む人って全然そんなんじゃないの。何なら指名もされてないみたいな(笑)」
 つい、先日のこと。場内指名で席についたけいさん。客は2度目の来店で、20代後半くらいの客だった。「最初からオドオドしてて、いきなり金貸してくれ…ですよ。初回の時にAV女優っていうのがバレたんですけど、何かお金が急に入用で、その時私のことを思い出したんですって。失礼にもほどがある。手握って涙浮かべたりするの。ウザッ!」
 以前、同様に金の無心に来た客を、冷たく追い払ったところ、店の外で待ち伏せされ、結局有り金の5万円を握らせた…という恐怖体験があるけいさん。今回はその場の飲み代を自分が持つからと言ってなだめて帰らせた。
 「よく考えると、私は何もしてないのに、飲み代も場内指名代も払ってるんですよね。バカみたい。やり切れない」
 ふ〜っと溜め息をつくけいさん、全くその通りだ。

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