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丹下日出夫の虎の巻 天皇賞・秋 危険な人気馬と面白い伏兵がいるぞ

 先週の菊花賞は、勝ったオウケンブルースリを最有力とみるかたわら、特注馬の一頭に挙げた9番人気のナムラクレセントが3着に激走。3連単50万円馬券こそ取り逃したものの、鋭い相馬眼の一端を示した丹下日出男。さて、今週は「第138回天皇賞・秋」(GI、東京芝2000メートル、11月2日)。危険な人気馬と面白い伏兵がそれぞれ1頭ずついるというが、果たして…。

 エアグルーヴによる天皇賞・秋制覇から11年。宝塚記念でハーツクライを下したスイープトウショウなど、この10年の間に著しい牝馬の質の向上をみた。牝馬とストッキングは、いつの間にこんなに強くなったのか。
 それはともかく、極めつけは、ダービー史を塗りかえたウオッカと、最強のライバルであるダイワスカーレット。現役にして早くも歴史的名牝といわれる4歳2強牝馬が、天皇賞に駒を進めてきた。
 なんて、ウオッカは毎日王冠を芝1800メートル1分44秒6で2着。実力馬にとっては、ある意味「安全策」ともいえる力任せの逃げを打ち、他馬の格好の目標となりながらアタマ差負けただけ。走破タイムは昨年にチョウサンがマークしたレコードに、わずか0秒4差。しかも、当時は休み明け。心身ともに、どこか緩い、あくまで本番を見据えたつくりだっただけに、前哨戦としては上々の滑り出しといえよう。

 そして、毎日王冠を眺めたダイワスカーレットが、タダもらいのエリザベス女王杯の予定を前倒しして秋天参戦を表明してきた。ウオッカには4戦3勝。有馬記念2着の実績に加え、半兄ダイワメジャーは2006年の天皇賞馬。血統的にも強気になるだけの材料はそろっている。
 2強の牙城を崩すのは並大抵ではないが、今夏から秋にかけてのドリームジャーニーの本格化ぶりは、ちょっとすごい。3歳クラシックは無冠に終わったものの、朝日杯FS杯優勝のれっきとしたGI馬。5着に敗れたとはいえ、ダービーでは、ウオッカが記録した上がり3F33秒0にわずかコンマ1秒差の33秒1の脚を駆使。潜在能力は決してウオッカに見劣るものではない。ひ弱さを感じさせた春から一変。小倉記念を問答無用の一気差し。中団待機からの横綱相撲で朝日CCを連勝と、馬肥ゆる秋を地で行く4歳牡馬だ。別路線組ゆえにマークも薄い。しかも、鞍上の池添騎手は気楽な立場での直線強襲でたびたびGIで穴をあけてきた。大仕事をやってのけるだけのおぜん立ては整っている。
 ほかでは毎日王冠からの上積みが見込めるカンパニー。ルメール騎手の騎乗で一発の期待ができるタスカータソルテあたりを抜け目に押さえておきたい。
 ちなみに3歳馬ディープスカイだが、1週前の栗東坂路の追い切りで3F37秒9を計時。この調教時計を見せつけられると、やはり走る馬だなとも思うが、NHKマイルの走破タイムは、同時期の安田記念と1秒5もの差がある。ダービーの走破タイムも上がりも、ウオッカに1秒近く見劣るし、3歳馬の中では、ズバ抜けた「1強」であっても、古馬GIに入るとまだ家賃が高い。今回に限っては、一走敬遠が正解のような気がする。
 牡馬の頂点に君臨するメイショウサムソンは、出走を回避することになった。あのディープインパクトでさえ凱旋門賞明けの秋天はスキップしただけに、この決断は賢明だろう。

○サムソン ジャパンCへ
 日本中央競馬会(JRA)は凱旋門賞へ出走し、11月2日(日)の天皇賞・秋(GI、東京芝2000メートル)に出走を予定していたメイショウサムソン(牡5歳、栗東・高橋成厩舎)が、出走を取りやめることを発表した。
 高橋成調教師のコメント「本日、オーナーと話をし、まだ調整が足りないので天皇賞・秋への出走を取りやめることにしました。今後はジャパンC(GI、東京芝2400メートル、11月30日)を目指す予定です」

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