担当の林調教厩務員が明るい。それが何より、メイショウトウコンの今を物語っている。
「春はカイバ食いが悪くて、馬にもやる気がなかった。ひと息入れて持ち直したし、昨年ぐらいのデキにある。今は走りたいという気持ちが前に出ているからね」と笑みを浮かべた。
確かに4月のアンタレスSが14着に、5月の東海Sが10着。2ケタ着順を続けたのはデビュー以来初めてだった。しかし、復帰戦となった8月のブリーダーズGCで勝利すると、前走のJBCクラシックでも小差の3着に肉薄した。
鋭い追い込みが身上のトウコンにとって、小回りの園田は最も不向きな舞台。実際、展開も先行馬に有利だった。それでも現役最強のヴァーミリアン、3歳王者サクセスブロッケンにクビ、3/4馬身差まで食い下がった。次に十分つながる内容だった。そして今回は舞台設定に大きな上積みが見込める。阪神ダートは初経験だが、「差し馬にとってゴール前の急坂は好都合。重賞を勝っている京都より、むしろいいんじゃないかな」という。
しかも、今回は展開も味方しそうだ。「外国馬が参戦するし、メンバー的にも決して緩い流れにはならないと思う。末脚が生きる」と期待する。
プラス材料はこれだけではない。豪快な追い込みが武器のトウコンだが実は結構、繊細なタイプ。輸送時間の長い東京でいまひとつ結果が出ないのはそのためだ。それだけに今年から阪神で行われるのも追い風になる。
「一時より気にならなくなったとはいえ、やっぱり馬体減りの心配がない関西でやれるのはいい。体重も理想の460キロ台前半でいけそうだしね」
ヴァーミリアン、サクセスブロッケンの2強ムードが漂う。しかし、林調教厩務員は「一騎打ちにはならないだろう。今回は本当に楽しみなんだ」と一発を宣言した。
上位拮抗と思われた先週のジャパンCも9番人気のスクリーンヒーローが快勝した。競馬はそう簡単には収まらない。