所属球団を自由契約になった福留には、3球団が早くからラブコールを送った。ただ、あくまでもメジャー志向の福留は米球界の動向を最優先したが、12月初旬のウインターミーティングを経ても、米国からいいオファーはなかった。
日本球界復帰に絞った福留だが、古巣の中日は条件面(単年1億円プラス出来高)で劣り、早々に脱落。阪神とDeNAの一騎打ちとなった。
夫人が在京球団希望ともいわれたため、当初はDeNA有利が伝えられたが、最終的に阪神は3年契約(3年目は球団に選択権)年俸1億5000万円プラス出来高を提示。DeNAは2年契約を3年に修正し、総額6億円を提示したとみられる。
両球団ほぼ同等の条件下で福留が選択したのは、阪神だった。関係者によると、福留は高校時代(PL学園)にもプレーした思い入れの強い“聖地”甲子園球場を本拠にして、野球をすることを希望したという。
表向きは「甲子園球場でプレーしたい」というのが阪神入りの理由だが、福留はある面でDeNA入りをちゅうちょしたともいわれているのだ。
それは、10月にDeNAが発表した禁煙令。同球団では新人選手は全面禁煙、それ以外の選手にも禁煙を強く勧める方針を示した。前述の関係者によると、「福留は喫煙者であるため、DeNAの禁煙令はネックになったようです。ベテラン選手でも、喫煙ぐらいでうるさくいわれたのではたまりません。提示条件がほぼ同じなら、『DeNAに行って気を遣うより、阪神に行った方がいい』と結論しても、致し方ないところです」と話す。
プロは結果を出して、なんぼの世界。禁煙令が原因でDeNAが大魚を逃したのなら、チーム強化の意味で、その方針にも疑問が残る。
(落合一郎)