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空中接触事故を起こしたタイムトラベラー

 タイムトラベルの理論的実現の可能性は、学問としても研究されていて、ティプラーの円筒、ワームホール、宇宙ひもを利用する方法等、物理学によって論じられている。が、残念ながらいずれも、それらの過程で生じるエネルギーや空間変形的仮説が、現代の技術では対処できない。スティーヴン・ホーキングは未来からのタイムトラベラーがいないことを根拠に、タイムトラベルについては懐疑的である。
 しかし、タイムトラベラーはいないのではなく、気付かれにくいだけだとしたら?経験者本人ですら、気付かないとしたらどうだろう?

 1960年1月25日。アメリカはオハイオ州上空を、セスナ機で飛行中のジョン・ウォール氏は、怪訝な思いで前方を凝視していた。そこには、木製の翼を持つ古いレアード複葉機が飛んでいたからだ。すると、レアード複葉機は方向を換え、ウォール氏に向かって飛んできた。咄嗟にセスナ機を急旋回させ、正面衝突は避けられたものの、双方の翼が接触してしまった。しかし、飛行に支障は無く、無事帰り着くことができた。
 3か月後。ウォール氏は、小さなニュース記事に目を留めた。それは、オハイオ州ロ−クレス村で、30年前のレアード複葉機発見を報じる記事だった。あの一件を思い出し興味が湧いたウォール氏は、ロークレス村を訪ねた。そこには、ウォール氏が危機一髪で正面衝突を避けた、同型のレアード複葉機があった。更に、驚いたことに、翼には衝突痕が残されていた。まさかと思うウォール氏だったが、そのまま見過ごすことはできなかった。
 調査を依頼した連邦航空局の報告によると、衝突箇所から検出された金属片は、ウォール氏のセスナ機と同じ材質で、欠けている箇所に寸分たがわず一致した。更に、レアード複葉機に残されていた飛行日誌には、1932年1月25日に、見たことのない奇妙な金属製の飛行機と空中接触した記述があった。飛行日誌は連邦航空局からFBIに送られ筆跡鑑定や、インクの成分分析から、1930年代に書かれたものと断定された。

 28年という時を超えて空中接触した、2機の飛行機。時を超えたのは、ウォール氏のセスナ機かレアード複葉機かはわからない。目撃者もいなければ、当事者双方気付きもしなかったのである。もしかすると、今日人気の無い道ですれ違った、奇妙な服装の人がタイムトラベラーだったのかも知れない。

七海かりん(山口敏太郎事務所)

山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/

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