「女の子には花を持たせないとね。ここでの写真判定は負けていい」有馬記念のファン投票が発表された直後、高橋成師はその結果をサラリと右から左へ受け流した。
今季3つ目のタイトル奪取、そして2007年の年度代表馬の座をにらみ、威風堂々立ちはだかるのはメイショウサムソンだ。
大一番のグランプリを前に高橋成師がその意欲をみなぎらせた。
「当然、ハクがつくんだから頑張りたい。惜しかったな…ではダメ。それを繰り返さないようにしないとな」
トレーナーの脳裏に浮かぶのは前走のジャパンCでの惜敗。アタマ+クビ差の惜しい3着だった。この敗戦で年度代表馬争いは混とんとしてきた。サムソンを筆頭に、今年GI3勝のダイワスカーレット、そしてダービー馬ウオッカ、そしてアドマイヤムーン…オーラス・グランプリでの勝利が、07年のMVPをグッと手繰り寄せることになる。
もちろん、仕上げも抜かりない。1週前の坂路では800m53秒2をマーク。活気あふれる動きで、戦闘モードへとスイッチが入った。「まだ1週間あるけど、来週への下地はできた。このままいけば、いい形で出走できるだろう」と指揮官は自信をみなぎらせた。
ウオッカ同様、サムソンもこの一年は夏後半に流行した馬インフルエンザに振り回され、凱旋門賞挑戦を断念。病魔に感染もした。それでも、ぶっつけ本番となった秋の天皇賞では新コンビ・武豊とともに2馬身半差V。競って強いサムソンから突き放すサムソンへとさらなる進化を遂げた。
年度代表馬の称号は来年の海外挑戦に向けても、是が非でもほしい栄冠。男の意地とプライドをかけた戦いが再び始まる。