レース後、敗れ去ったジョッキーが異口同音に敗因を「展開」と「馬場」に求めたのも無理はない。
ペースは過去10年間で2番目に遅い前半1000m通過61秒4という超のつくスロー…さらに、良馬場発表とはいえ、中間の降雨の影響で地盤が緩々になった最終週のバッドコンディション。この2つの恩恵があれば、戦前、距離が長いと危ぐされていたマイラータイプのキャプテントゥーレでも楽々と逃げ切れてしまう。
勝ち時計の2分1秒7も過去10年間で2番目に遅いタイム。上位3頭は弥生賞上位馬の着順をシャッフルしただけ。その弥生賞で2着だったブラックシェルこそ先行有利の展開、馬場に苦労し6着に沈んだが、結局、同トライアル組の強さだけが際立つレースとなった。
手綱を取った川田騎手は「後ろの馬の足音が聞こえなかったから、最後はビジョンを見れるぐらいの余裕があった。気持ちがいいものだね」と、自身の初GI制覇にも涼しい顔。
それはそうだろう。ハナ候補のショウナンアルバは妙に折り合いがつき、ノットアローンも控える形。ロスなくハナに立つと、あとは自分のペースを守るだけだったのだから…。
後続馬も直線勝負にかけざるをえず、道中、動くに動けない“金縛り”状態。1400mまで12秒を切ったラップは2F目の一度だけ。サンツェッペリンとのハナ争いに競り勝った末、逃げ切った昨年のヴィクトリーとは、“価値”が違ってくる。
「母の血統が短距離型なので、あと2F…一生懸命やれば大丈夫だと思う」これはダービーに向けての川田の見解だが、どうみても、2000mが限界の印象。牝馬と同じく牡馬クラシック戦線も1冠を終えたというのに、いまだ本命馬は不在。今年の3歳頂上決戦は主役抜きのままダービーを迎えることになった。