カルピスウォーターの「甘ずっぱい距離篇」というヤツなのだが、これに彼女と事務所サイドの新たなる“決意”が込められているのだ。
その解説の前に前作の「告白篇」を振り返ってみよう。好きな男子(サーファー)に告白の練習(妄想爆発気味の)をしている長澤。すると、そこにその男子本人が登場する。長澤は意を決して、持っていたカルピスウォーターを差し出しながら「好きです!」と告白すると、「俺もそれ好きなんだよねー」と男子が間違って解釈してしまう。意図が伝わらなかった長澤はやけくそ気味に「ですよねー」とごまかす、というものだった。つまり、恋愛の主役を演じる側だったということだ。
これが「甘ずっぱい距離篇」でどう変わったか。まだちゃんと告白の儀が済んでおらず、これからまさに男子が女子に対して気持ちを伝えようとしている高校生カップルの間に長澤が割り込んでくる。実は、女子の姉が長澤という設定なのだが、そこで長澤は2人をさんざん冷やかしてから帰る、というストーリーだ。これは、長澤が大人の階段を一段のぼったことをも意味している。もう長澤まさみは大人になってしまったのだ。それを15秒で宣言しているに等しい。
これまでの彼女のパブリックイメージといえば、フレッシュとかカワイイとかいうものだったはず。
しかし、デビュー当初から見ているこっちに言わせると、とっくにフレッシュさなんぞありはしない。私的な印象では3年ほど前から急速に顔が成長を遂げちゃっていて、実際に「甘ずっぱい篇」がそうであるように、高校生役が似合わない顔になってしまったのだ(21歳なんだから当たり前ではある)。
よって、妹の恋の応援団という役が回ってきたわけで、教師役とか入社3年目のOL役とかをやり始めるのも時間の問題。事務所もそういう方向で売っていくはずだ。
本人的にもそういったことを自覚しているのだろう。先々月、ある会見で「豆をお豆って言うと恥ずかしい」とコメントする小栗旬(25)の下ネタ発言にゲラゲラ笑い出し、観客をまじえてのお豆コールの音頭を取るという異様なシーンがあったが、「もう私は皆さんが思うような存在じゃありませんよ」という宣言に他ならない。
「お豆発言」でファンを減らしたことは間違いないだろうが、新規ファンがビクンと反応したこともまた事実。
とはいえ、「お豆ー!」とTVカメラの前で絶叫するくらいなので深刻な悩みを抱えてなさそう。それはそれで何よりだが…、とりあえず言えることは『セカチュー』の頃の長澤まさみは、もうどこにもいないということだ。