ダービー2勝、そのほかにも数々の栄冠を勝ち得てきた松田国師が言った。
「GIという大舞台に1番人気の馬を出すのが調教師の仕事。だから誰が見ても心配のない完ぺきな仕上げに持っていきたい」
ダイワスカーレットがその思いを見事に具現化した。極上の仕上げでウオッカ打倒に臨む。
秋初戦のローズSを完勝した。積極的にハナを奪うとあとはゴールまで一人旅。上がり3Fを33秒6の鋭さでまとめた。その後の調整には若干の誤算があったという。しかし、それも名トレーナーの経験と工夫で軽々と克服した。
「先週の調教が軽かった。でも、その分は普段の調教を大きめに乗ることで帳尻を合わせた。むしろ、牝馬はビッシリやると掛かるからね。コンスタントに大きめを乗った方がいい」マイナスまでプラスに変える名人技を発揮した。
強い調教をすると体温が上がる春のひ弱さはもうない。前へ前へと行きすぎる気性も随分大人になった。
「ウオッカやベッラレイアは掛かり気味に行く馬。うちのが速いペースで行って、その流れに乗ってうまく2コーナーに入っていけば楽観できない。しかし普通に考えればうちの方が有利でしょう」
相手がどうであろうと自信は揺るがない。底力で世代頂点の座を奪う。
【最終追いVTR】坂路で格下馬を3馬身前方に置いてゆったりとスタート。馬任せでピッチを上げていき、最後も持ったままでフィニッシュ。53秒5→38秒9→12秒8をマークした。ゴール前では自らハミをかんでいく気合で楽々と併入に持ち込んだ。態勢は万全だ。