男の子の1位は「翔太」、2位は「翔」、3位は「健太」。「翔」がつく平成生まれの有名人と言えば、プロ野球選手の大谷翔平。大谷が生まれた平成6年の1位は「健太」だったが、2位に「翔太」、5位に「翔」がランクインするなど、「翔」という言葉そのものが名前の漢字として人気があるようだ。そもそもこの漢字は、実は人名用漢字ではなかった。この漢字を子どもの名前に使いたいという親の要望が高まったために、昭和56年10月、「翔」の字が、人名用漢字に追加されたという経緯がある。
女の子の1位は「美咲」2位は「葵(あおい)」3位は「陽菜(ひな)」。有名人で美咲といえば、女優の伊東美咲が思い浮かぶが、彼女は昭和52年生まれ。まだ「子」がつく名前が主流の年代だっただけに、当時としては斬新だったのかもしれない。「葵(あおい)」というと、ひらがなではあるものの、宮崎あおいのイメージが強いが、彼女も昭和60年生まれ。「陽菜(ひな)」であればAKB48の元メンバー・小嶋陽菜がいるが、読み方は「はるな」で、小嶋は昭和63年生まれ。3つの名前の有名人が台頭してくるのはこれからだろうか。
2018年度の男の子の1位は「蓮」、女の子の1位は「結月」で、“今風”の名前という印象だ。2000年ごろからはやりだした、いわゆるキラキラネームというほどの印象を受ける名前は10位以内にはランクインしていなかった。
「悪魔ちゃん命名騒動」という、元祖キラキラネーム問題が発生したことがあった。これは平成5年に、「悪魔」と命名した男児の出生届が出されたというもの。「悪」も「魔」も常用漢字の範囲であることからいったん受理されたが、市が法務省民事局に本件の受理の可否を照会したところ「子供の福祉を害する可能性がある」として、親権の濫用を理由に不受理とされた。当時はまだキラキラネーム自体が珍しかったこともあり、かなりの話題となった。
近年、周囲を驚かせるようなキラキラネームとしては、人気キャラクターの名前をもじったと思われる「光宙(ぴかちゅう)」「詩羽揚(じばにゃん)」「闘女(きゅあ)」などがある。漢字はさまざまだが、「あなる」「せふれ」といった、自己紹介したら驚かれるであろうキラキラネームまである。「悪魔」がまだかわいらしく思えるほどだ。
芸能界でも、杉浦太陽・辻希美夫妻が2018年12月に生まれた三男の名前を「『幸空』と書いて『こあ』」だと発表し、キラキラネームだと指摘された。ただ、杉浦のInstagramによると「我が家の子どもたち全員に、『空』という字が付きます。これには、『空を見上ると、いつも太陽が見守ってる』そんな意味を込めての『空』でもあります」という。しっかりとした意図がある名付け方であることが分かる。
もちろん、親が深く考えて命名だとしても、キラキラネームで子どもが苦労することになったらたまったものではない。とはいえ、時代の移り変わりで、キラキラネームのほうがごく一般的なものとなり、従来の人気の名前は「シワシワネーム」となる可能性もなきにしもあらず。新しい元号では、どのような名前が流行するのだろうか。
文/浅利 水奈