1番人気に支持された秋華賞。牝馬2冠を目指したトールポピーは10着に大敗した。
その前のローズS(6着)は休み明けに出遅れもあっただけに情状酌量の余地もあったが、秋華賞は7、8番手の絶好位で流れに乗りながら、まったく伸びなかった。
もちろん、このまま終わるわけにはいかない。シーザリオ、ウオッカなど名牝を育てた角居調教師は考えた。
そして至った結論はフォームの改良。オークスで見せた瞬発力をもう一度引き出すため、伸縮の利いたバネのある走法を取り戻すことに取り組んだ。
そこで陣営は、この中間から坂路調整を取り入れた。これまでのCWコースでは距離が長く、どうしてもだらだら走りがちになってしまう。背中をしっかり使い、集中して走るには坂路が最適というわけだ。「1週前は坂路でサッとやったけど、いい感じで動けるようになってきました」と平間助手はうなずいた。
11月に入って1日に800メートル59秒1、ラスト1F14秒6、2日に55秒2→12秒8、4日に54秒5→13秒4、そして6日に54秒7→12秒3をマークした。まさに妥協なき仕上げ。これだけ密度濃く時計を出すのは異例といえ、巻き返しへの意欲がヒシヒシと伝わってくる。
「前走の疲れもなく順調そのもの。距離が延びるのも、広い外回りにかわるのも、この馬にはプラスだから。チャンスはあると思います」
確かに秋華賞は先行馬に有利な流れになってしまった。直線の長い外回りなら思う存分末脚を生かせるだろう。大混戦が続いた今年の牝馬クラシック。世代トップといわれた実力馬が、ここで突き抜けるか。