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「虎ノ門ヒルズ」開業 森ビルに囁かれる港区大型開発の大風呂敷

 6月11日に開業した東京の新たな顔『虎ノ門ヒルズ』は、大手不動産会社の森ビルが創業の地でもある東京・虎ノ門で建設を進めてきた地上52階建ての超高層ビル。道路整備費用を含めると総事業費は実に2300億円。今年3月期の売上高が2650億円だった同社とすれば、年間売上高を丸ごと注ぎ込んだに等しいビッグプロジェクトだ。

 だが、森ビルの“夢”は果てしない。虎ノ門ヒルズが完成した勢いに乗じたかのように、今後10年間に同界隈で10件の大型再開発を行うとぶち上げたのである。投資額締めて1兆円規模。かねてから同社は「典型的な借金まみれ」で知られるが、今や有利子負債が売上高の約4倍に達し1兆円の大台に迫るだけに、金融関係者は「大風呂敷にも程があり、本気度を疑いたくなる」と苦笑する。
 ところが、2020年の東京五輪開催を控えていることもあって、6月10日の記念式典に出席した安倍普三首相は「1兆円の投資宣言は大変頼もしい」とヨイショし、辻慎吾社長など森ビル側を喜ばせた。

 森ビルには苦い経験がある。'08年に同社が鳴り物入りで中国・上海に建設した地上101階建ての通称“上海ヒルズ”は、厳しい市況に直面したのを機にフロア単位での切り売りを余儀なくされた。その悪夢が六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ、さらには今後の再開発を計画する10棟の超高層ビルで続出しないとの保証はない。大手デベロッパー役員は辛らつだ。
 「森ビルが上場会社ならば借金まみれを理由に売り崩しの標的になり、ハゲタカファンドに食い尽くされたでしょう。それを支えたのは2年前に亡くなった“カリスマ”森稔前社長の存在です。跡目を継いだ辻社長が『自分も−』などと言い出したら墓穴を掘りますよ」

 安倍首相の祝辞にご満悦だった辻社長のこと、イケイケの計画を前社長の“遺言”と錯覚したならば、実に危うい限りだ。

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