そもそも、この映画『ばあばは、だいじょうぶ』(2019年春公開予定)は、冨士眞奈美演じる大好きな“ばあば”が認知症を患った時、それを見つめる主人公の少年・翼(寺田)を通して、誰もが避けては通れない社会の問題を優しい視点で描き出す作品。だが、心くんが凄かったのが、賞を受賞した瞬間、その喜びを誰に伝えたいかという質問の時だった。
「映画の中のばあば役の冨士眞奈美さんと、本当のおばあちゃんと、僕をいつも応援してくださる方に伝えたいと思います」。
新人女優であれば号泣してしまい、それどころではないだろう。だが彼はきちんと完璧な“答弁”をしたのである。
10歳といえば、もはやYouTube世代といっていいだろう。だが心くんはテレビマンに勇気を与えた。
「2015年の『27時間テレビ』(フジテレビ系)のテーマは『本気』でした。司会のナインティンナイン岡村隆史がテレビの危機を救うヒーロー『ホンキーマン』に扮し、27時間の生放送に本気で挑むというコンセプトでしたが、『ホンキーマンJr』という設定で登場した心くんは、芸人のテレビに対するスピーチを聞いたあと、『岡村さん、一生懸命おちゃらけているんだなって伝わりました』『光浦さん、僕はブサイクだなんて思ってないですよ』と答えたのです。さらに、総評として『皆さんのプレゼンを聞いて、テレビはピンチじゃなくて、チャンスなんじゃないかと思いました』と、締めくくっていました」(芸能ライター)
心くんは犯罪にも敢然と立ち向かう。今年11月、「振り込め詐欺撲滅キャンペーン」イベントに応援大使として登場。その挨拶で彼は、「応援大使に任命されて、責任を感じます。身が引き締まる思いです」と心境を吐露。さらに、「今日帰ったら、おばあちゃんに『振り込め詐欺に気をつけてね』って言おうと思います」と、心くんより超年上の祖母に注意喚起を促すという感心ぶり。
最後に、「人間は生まれながらにして悪い人はいません。良心に従って欲しいです」と、悪事に手を染める詐欺グループの改心も求めていたのだ。
これまで、上に君臨してきた天才子役・鈴木福くんが中学生に上がり、少し大人びてしまった。いよいよ心くんの黄金時代が始まるのかもしれない。