事件が発生したのは、9日午後10時40分頃。富士宮市舞々木町の医療機器メーカー工場で、38歳の社員が突然アイスピックを持ち出し、組み立て作業に従事していた3人の派遣社員の首を次々と刺し、殺害しようとした疑い。
男は直ちに周囲にいた作業員に取り押さえられ、駆けつけた警察官に殺人未遂容疑で現行犯逮捕。取り調べに対し、刺した容疑については事実を認めているが、殺意について否定している。警察に連行され取り調べを受けた際、男は弁解録取書を引き裂いており、公用文書等毀棄容疑でも逮捕された。
詳しい動機は現在のところわかっていないが、男は最近欠勤が続いており、退職が決まっていたという。自身の処遇や会社の待遇などに不満を持ち、凶行に及んだ可能性を指摘する声や、派遣社員を標的にしていることから、自身の仕事を奪われ、不満に思ったのではないかとの声も。いずれにしても、工場側になんらかの不満を持っていたことは間違いないものと思われる。
この闇の深い事件に、「無理矢理退職を迫られたのではないか」「いじめを受けていた可能性がある」「使い捨てにキレたとしか思えない」「パワハラを受けていた可能性もある」など、犯罪に憤りを示しつつも、容疑者の置かれていた現状に同情する声が上がる。
一方で、「やるなら管理者や自分の上司を刺すべき。派遣社員を狙うとは許せない」「立場の弱い者を狙って卑劣な犯行」「どんなことがあっても殺人はよくない」と、犯人を糾弾する声も。また、休職中だったことから、「精神的に病んでいたのではないか」「物を判断する能力がなくなっている可能性がある」という指摘もあった。
好景気などと言われている昨今だが、派遣社員の存在や氷河期世代への冷遇など、会社の扱いに怒りを持ちながら仕事をしている人は多いと言われる。「人手不足」と言いながら、社員への待遇を改善しない経営者も多く、「安く使いたい人材がいないだけ」と憤る声もある。
そのような現状に怒りを持ち、凶行に及ぶ人間が今後も現れる可能性は極めて高いと言える。人手不足は、そんな人材を大事にしない経営者が招いた事態。人を入れることよりも、勤務する社員の待遇改善が求められる。