逃した魚はデカかったが、それが自信の裏付けにもなっている。前走のヴィクトリアM、デアリングハートは3着に入った。単勝8番人気の低評価に反発する激走。しかし、陣営は悔しい思いを隠さない。
「直線で前が壁になって立て直すロスがあったからね。それで勝ち馬(コイウタ)から0秒1差でしょう。本当に惜しい内容だった」と藤原助手は振り返った。
サッと好位につけるセンスがあって、終いもしっかり。速いラップにも対応できる能力の高さはタフな東京コースで最も光る。3歳時にはNHKマイルCで2着。昨年は府中牝馬Sを制している。
「本当に東京とは相性がいい」特に1800mは2番手から上がり3F33秒9の末脚で後続を封じ込んだ府中牝馬の強さが示すようにベスト距離。同じ1800mのエプソムCはGI制覇を逃した悔しさを晴らす格好の舞台だ。
昨年もヴィクリアMからエプソムCのローテーションだったが、(6)(4)着といまひとつの結果だった。だが、その原因は能力ではなく体調面にあった。
「歩様のゴトゴトもなく、昨年よりいい感じで使える」実際、30日の1週前追い切りは栗東CWコースで6F80秒2→65秒5→51秒4→38秒3→12秒7の好時計。ハロー明けのいいコンディションだったとはいえ、動きは俊敏。430kg台の馬体を数字以上に大きく見せていた。
「男馬相手になるけど、東京なら十分好勝負になる」
ダービーを牝馬のウオッカが制し、すぐさま秋のフランス凱旋門賞挑戦を表明した。女性上位が目立つ最近の中央競馬。デアリングにも大きな野望がある。
「暮れにできれば香港を使いたい。そのためにもここで実績を積んでおきたいね」
人に目を転じても、このところの日本女性はミスユニバース(森理世)にカンヌ映画祭(審査員特別賞・殯(もがり)の森=河瀬直美)と活躍。流れに乗って世界に羽ばたくか。