6月15日、延長10回に巨人・梶谷隆幸が前進守備の外野手の間を抜く二塁打を放ち、サヨナラ勝ちを決めた。
「9回、守護神・大勢が危険球退場となりました。緊急登板となった中川皓太の力投が打線に火を点けたのだと思います」(球界関係者)
中川の力投を評価する声も多く聞かれた。その意見を否定するつもりはない。しかし、「7回」に試合の流れは変わっていた。
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「西武の先発は與座海人。昨年の交流戦で7回先頭打者にヒットを打たれるまで、パーフェクトに抑えられているので、巨人は與座に苦手意識を持っていました」(前出・同)
その影響だろう。巨人は3回の攻撃を迎える前、ベンチ前で円陣を組んでいる。この時点でのスコアは「0対2」で西武リード、早めに仕掛けたわけだ。
2死から坂本勇人に一発が出たものの、1点止まり。試合は「投手戦の様相」を濃くして行った。
試合が動いたのは「7回」。というか、原辰徳監督が動いたら、西武・松井稼頭央監督が見誤ってしまったのだ。
「2死から7番・金子侑司が二塁打を放ち、原監督は8番・古賀悠斗のところで『申告敬遠』を告げました」(スポーツ紙記者)
打順は9番・與座。DH制のパ・リーグでは、得点好機にピッチャーに打順が回るなんてことはない。松井監督の選択は「與座の続投」、そのまま打席に立たせ、3アウトチェンジとなったのだ。
追加点を挙げることができなかったため、スコアは1点差のまま。原監督の申告敬遠は「與座に代打を出してください」という意味だ。松井監督はその“挑発”に乗らず、1点差のまま逃げ切ることを選択した。
「與座は自身に代打が送られると思ったみたい。まあ、打席に立った時点で『完投しろ』の檄は伝わっていましたが」(前出・関係者)
続投となった直後の7回裏、大城卓三のバットから同点打が生まれ、9回の攻防、そして延長戦へ進んで行った。
「與座の気持ちが一回切れたというか、7回からボールのキレがなくなりました」(前出・同)
指揮官のキャリアの差だ。
ネット裏にいたライバル球団のスタッフがこう続ける。
「巨人で一番ノセてはいけない人をノセてしまいました。原監督ですよ。原監督は積極的に仕掛けていくタイプ。交流戦の優勝はともかく、『阪神をDeNAが追いかける図式』が、巨人を含めた三つ巴の接戦に変わるかもしれません」
4番・岡本和真が好調だからか、巨人戦を見るセ・ライバルチームのスコアラーたちの人数も増えたような気もする。
具体的な動きを掴んだわけではないが、交流戦終了後、「駆け込みトレードが何件か成立する」と話す関係者もいた。もし本当なら、仕掛けていくタイプの原監督がこの流れを静観するとは思えない。
「ドライチの浅野翔吾を勉強で一軍に呼ぶとの情報も聞かれました」(前出・関係者)
巨人に注目が集まりつつある。(スポーツライター・飯山満)