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ロシアがウクライナに核攻撃ができないこれだけの理由

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3月25日、ロシアとベラルーシは戦術核兵器を配備することを、プーチン大統領とルカシェンコ大統領の間で合意した。

どうやら【ベラルーシ領にいるロシア軍に核が配備される】ということで、ベラルーシ軍に核兵器を譲り渡すということではないようだ。

もしそんなことをすれば、これまでロシアにひざまずいてきたベラルーシが、その核を使ってロシアとの駆け引き材料にするかもしれない。そうならないように、核はロシア軍の管理下に置くということだろう。

では本当にベラルーシ領内のロシア軍への核配備はあるのか? 個人的意見としては、可能性はゼロではないが、すでにロシアにはウクライナの国境近くにクルスク空軍基地があり、500㎞射程距離内に首都キーウがある。さらにロストフ空軍基地も加えると、いま戦闘をしているウクライナ東側はすべてカバーできているので、いまさら新たに配備する必要はない。

仮にポーランドなど西側のNATO加盟国を核でにらみを利かすつもりなら、バルト海にあうロシアの飛び地「カリーニングラード」の方が有効だ。

つまりベラルーシ領内に核配備というのは、一種の脅しでありパフォーマンスであると考えられる。

また、実際にロシアがウクライナを核攻撃すると、それが小型であったとしても、核の灰が偏西風に乗ってロシア領内に降り注ぐ可能性がある。そうなるといま最前線で戦っている兵士たちを避難させないといけなくなる。
つまりいままでの侵略で勝ち取った地域を放棄せざるを得なくなる。

またロシア兵にしても、放射線で汚染された場所へ進軍しろと言われても、いままで以上に士気が下がるに違いない。これは人口密度が少ない地域や黒海に核を爆発させても同じだろう。

次にもし核を使うと、NATO軍が直接介入してくるおそれがあるということだ。ロシア軍に比べて、最新の兵器と十分に訓練された兵士など、圧倒的な軍事力でロシアに勝ち目はない。

ロシアに比較的友好的な中国やインドも、ロシアを見限ることになるだろう。インドも中国も核保有国だが、両国は国境問題を抱えている。2020年から、ヒマラヤ山脈のラダック地区で、両軍は軍事衝突を続けているが、この地域では銃など兵器を使わないという約束があるため、投石や殴り合いで戦争をしている。

これは両国が核の使用を避けよう、衝突をエスカレートさせないようにしようという思いがあるためだ。それでも多くの死傷者が出ている。

核を使わないために両国は、このような努力をしているときに、侵略国が核を使って勝利するというシナリオを許すわけにはいかないだろう。

このようにプーチンが核を使用すれば自滅しかない。プーチンはこれまでずっと核使用を脅しの道具として使ってきた。これからもそうするしかないのだ。

それでも核を使う可能性がないわけではない。人間はときに非合理なことを行う生き物だからだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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