「スター監督の宿命と言えば、それまでですが…。捕手陣に一抹の不安があるのは分かります。でも、絶対に補強しなければならないという意味で言ったのではないと思います」(地元関係者)
捕手の緊急補強発言が出たのは、12月17日に遡る。地元局TV局の情報番組に出演した際、阿部寿樹、京田陽太とレギュラー内野手2人を放出した経緯について聞かれ、その流れで「第3弾のトレード」を示唆したのだ。
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「中日の正捕手は木下拓哉です。でも、控えの石橋康太が右ヒジと左ヒザのクリーニング手術を受けたため、開幕に間に合わない可能性も出てきました。その石橋不在の間を埋めるためです」(前出・同)
今年5月10、11日のヤクルト戦だった。正捕手・木下が新型コロナでチームを離脱、その代役を務めた石橋が2試合連続完封勝利に導く好リードを見せた。
その石橋の右ヒジ、左ヒザの手術だが、秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」中に左ヒザの痛みを訴えたもの。「この先、ガマンしながらプレーするよりも」と周囲のススメもあって、メスを入れることになったのだが、こんな情報も聞かれた。
「今季は右ヒジ、左ヒザの痛みを抱えながらのプレーでした。立浪監督も分かっていたはず」(プロ野球解説者)
何が言いたいかというと、「第3弾のトレード」に反対するチーム関係者も多いのだ。まず、この時期になって、石橋の代役を求めるのはおかしいと言う。
「石橋の手術が決まったのは11月の初旬。阿部、京田の放出トレードが決まる前です。控え捕手が心配なら、もっと早い時期に仕掛けるべきでした」(前出・同)
捕手の交換トレードに応じられる球団はあるだろう。しかし、先に立浪監督が「欲しい」と公言してしまったため、交渉の相手側が強気に出るのは必至だ。
「いや、立浪監督が求めているのは『捕手石橋』ではなく、『打者石橋』かも? 正捕手の木下もクリーンアップを任される時があるように打撃面でも期待が持てます。中日にはほかにも好捕手がいますが、打撃力の高い控え捕手となると、やはり石橋ということになります。立浪監督は、木下をスタメン起用できない時の打線の得点力ダウンを気にしているのでは」(球界関係者)
また、石橋の復帰時期だが、開幕には間に合わないかもしれないが、「5月の交流戦までには」と、大幅な遅延はないと断言する声も多く聞かれた。だとすれば、立浪監督はその間をしのぐ策を検討すべきだと思うが…。
試合前、立浪監督は自ら選手に歩み寄り、打撃指導を行う。毎日ではないが、直接指導の光景は何度も見られた。それも、特定の若手だけではなく、外国人選手やレギュラー選手にも教えていた。岡林勇希などの新戦力が出てきたのはそのおかげだが、戸惑ってしまう選手もいないわけではなかった。
今回の「捕手補強」発言がチームの混乱につながらなければいいのだが…。(スポーツライター・飯山満)