フランス・パリで、飲み会参加を拒否して解雇された男性が、不当解雇を訴え会社を提訴していた案件で、裁判所が男性の主張を認め、男性に賠償金を払うよう会社側に命じた。海外ニュースサイト『Washington Post』『Daily Mail』などが11月24日までに報じた。
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報道によると2015年3月、パリのコンサルティング会社に勤務する男性(年齢非公表)が突然解雇されたという。解雇の理由は「会社の価値観を遵守せず、プロとしての能力欠如」とのことだった。男性は、約4年前の2011年2月に同会社にシニア・コンサルタントとして入社、2014年にはマネージャーに昇進しているという。
男性によると解雇の直前、男性はチームビルディングのためのセミナーや、週末の飲み会への参加を拒否していたという。男性の勤務する会社はフレンドリーで「楽しむ文化」を大切にする会社だ。同会社は、チーム力向上のために、一般的な研修ではなく、会社独自のチームビルディング・セミナーを設けている。飲み会もそのひとつで、週末の飲み会を強制参加としていたそうだ。
男性は不当解雇と主張し、損害賠償などを求めて、コンサルティング会社を提訴した。複数回の審理を重ね2022年11月、裁判所は会社の不当解雇を認め、約42万円の賠償金を男性に支払うよう、会社側に命じた。裁判長は「男性には表現の自由がある。飲み会などの社会活動の参加を拒否しても、それは男性の自由権。労働法、人権の観点から見ても、解雇の理由に当たらない」と説明している。
判決を受けて、各メディアが会社に取材を申し込んだが会社側は回答を拒否している。なお、男性は賠償金が安すぎるとして不服を申し立てている。男性は約6500万円の追加払いを求めているという。裁判は今後も続くとみられる。
このニュースが世界に広がるとネット上では「飲み会に来ないくらいで、解雇はあり得ない」「海外でも飲みにケーション問題はあるのね」「私も飲み会お断り派。仕事外で会社の人に会いたくない」「お酒を飲めない人にとって、この会社は地獄だ」「入社する前に社風くらいリサーチしとけ」「飲み会は付き合ったほうが、今後の仕事はスムーズにいくと思う」「賠償金が安い。これは実質、敗訴に近い」といった声が上がった。
飲み会やお酒には、コミュニケーションを深める効果があるかもしれない。そうだとしても、チーム力を高める方法は他にもある。不当解雇とした裁判所の判断は妥当なものだろう。
記事内の引用について
French man wins right to not be ‘fun’ at work(Washington Post)より
https://www.washingtonpost.com/world/2022/11/27/france-man-fired-company-drinking-culture/
Frenchman wins the 'legal right to be boring at work' after being mocked by his colleagues for not wanting to head out to the pub after clocking off(Daily Mail)より
https://www.dailymail.co.uk/news/article-11467043/Frenchman-wins-legal-right-boring-work-legal-battle.html