「まだ…」「クライマックス(以下=CS)には」「ファンを喜ばせて」
代表質問者を立ててくれるのなら、で“即席会見”が始まった。しかし、その内容は何も答えていないのも同然だった。
「新監督はまだ決まっていない。せめてCSには進出できるよう、ファンを喜ばせてほしい」ということだろうか。
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佐々岡真司監督の今シーズン限りでの退任が決定した。
OBの新井貴浩氏を中心に後任を選出するつもりだが、チームが抱えている問題は監督人事だけではない。
「西川龍馬と野間峻祥が国内FA権を取得しました。残留が基本路線だと思いますが、2人とも『よく考えて』と含みのある言い方なんです」(地元メディア)
複数の関係者の話を総合すると、新監督の正式発表は「11月に入ってからでも」とのこと。なんとなくだが、“余裕”を感じるのだ。すでに新監督は内定していて、CS、日本シリーズに進出するチームに配慮し、「発表するタイミングではない」と捉えているのだろう。
しかし、そうなると、西川、野間の慰留交渉は球団幹部が務めることになる。
「試合現場を指揮する監督が直接話した方が良い時もあります。起用法やチームの方針を聞きたい選手もいます。その辺に関しては、球団幹部では明言できないので」(前出・同)
新井氏の監督就任を予想する声が多い。というのも、広島は緒方孝市前監督、20年の佐々岡監督と「コーチ経験」を積ませてから一軍指揮官に昇格させてきた。だが、今回の新監督人事について、球団幹部は「コーチ経験は問わない」と言い切っている。名前の出ている他の候補者は指導者経験があり、そうでないのは新井氏だけだからだ。
「新政権でキーマンになりそうなのは、高信二・二軍監督です。10日から始まる若手のフェニックスリーグでチームを預かることになりました」(球界関係者)
広島には“慣例”がある。監督、コーチの進退において、「オーナー報告」を重要視している。佐々岡監督は9月25日のヤクルトの優勝を見て辞意を決めたという。オーナーが「新監督候補」に連絡を入れたのは、9月26日以降となる。
先の「発表は11月でも」発言の余裕を合わせて考えると、新監督は“即決”したことになるが…。
「かなり前から、新監督には待機させていたのでは? 監督志望の強いOBでも、『考えさせてくれ』といったん返事を保留するものです」(前出・同)
今季最終戦は「マツダスタジアム通算500勝」が懸かっていたが、佐々岡監督はそれを果たすことができなかった。
世代交代はうまく行っているが、チームの勝利には結びついていない。西川らのFA慰留も含め、新監督は厳しい船出となりそうだ・(スポーツライター・飯山満)