5月1日、巨人の精神的支柱でもある坂本勇人の登録が抹消された。前日の同カードで坂本は途中交代している。併殺プレーを成立させられず、その後すぐにヒザをついて座り込んでしまった。捕球の際、右ヒザを地面に打ったのだ。「右ヒザ内側側副靱帯の損傷」、元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチは「重傷じゃないと思う」と言っていたが…。
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「3連戦初戦に先発した菅野智之も右肘を痛め、登録を抹消されました。投打の中心選手がいなくなってしまいました」(スポーツ紙記者)
戦力ダウンは間違いないだろう。
しかし、坂本の故障個所が「右ヒザ」であったことは、ちょっと気になる。元ヤクルト・宮本慎也氏が自主トレ期間中の1月から「今年の坂本はヤバイ」と話していたのは有名な話。それが右ヒザに関係していたのだ。
「坂本は宮本氏に直接電話をし、どこがまずいのか、質問したそうです。宮本氏は捕球体勢が高くなっていること、右足の動かし方、特にヒザで踏ん張らなくなったため、送球ミスにもつながっていることを説明しました」(球界関係者)
2012年、坂本は宮本氏に守備の極意を学んでいる。その信頼関係から「右ヒザの使い方を見直すべき」とのアドバイスにつながったわけだが、
「坂本は手抜きをしようとして右ヒザで踏ん張らなかったのではありません。無意識のうち、認めたくないのかもしれませんが、年齢的な衰えでしょう」
とも指摘されている。
そう言えば、昨季終盤、“らしくない”送球ミスもいくつか見られた。
「巨人首脳陣も察していたのでは。昨季オフ、若手の中山礼都に『坂本超え』の言葉を掛け、発奮させたりして」(プロ野球解説者)
また、その坂本が今季開幕戦に左脇腹の故障で間に合わなかった時、原監督は小林誠司を副主将に指名している。“坂本不在”の不安を抱えたままペナントレースに突入したくないのはもちろんだが、これまでのようにフル出場できる体ではないことも察していたのかもしれない。
「レフトのウォーカーの肩の弱さをフォローするため、坂本は外野まで走って中継プレーをしていました。例年以上に疲れているはず」(前出・同)
“珍現象”も起きている。ここまで阪神の失策数は「11」で、リーグ最少。巨人は「19」でリーグワーストだ。うち5失策は坂本によるもの。昨季の失策は「4」だから、約1か月で1年分のエラーをカウントしてしまったわけだ。
「このまま終わる選手ではありません。コンディションを整え直せば」
そんな声も多く聞かれた。
チーム全体でもエラーが多いだけに、今年は戦略も変えていかなければならない。「坂本の異変」が首位戦線にも暗い影を落としつつある。(スポーツライター・飯山満)