「その日、中日の先発投手は高橋宏斗(20年ドラフト1位)で間違いありません」(名古屋在住記者)
4月25日のことだ。首脳陣から指名を受けた若手投手陣が軽めの練習を行ったが、小川一平の一軍登録抹消も知らされた。「右肘の張り」とのことだが、前回20日のDeNA戦では7回無失点と好投している。伊藤将司、藤浪晋太郎らの新型コロナウイルス感染に伴う代役ではあったが、阪神ナインにも動揺を与えたはずだ。
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その25日の練習から一軍に加わったのが西だった。
西は昨季6月以来の一軍マウンドとなる。
「昨年5月のヤクルト戦でプロ初登板を果たし、見事に勝利しました。6月にもう一度、先発登板のチャンスをもらいましたが、敗れています。一軍に残して実戦の中で育てても良かったんですが、将来のため、二軍にみっちり鍛え上げた方がいいということになったんです」(球界関係者)
19年ドラフト会議と言えば、佐々木朗希、奥川恭伸が注目を集めていた。
「阪神は奥川を1位入札し、その抽選に外れた後、西を指名しました。佐々木、奥川は突出していましたが、将来性では他球団も西を高く評価していました」(在阪記者)
将来性、チームのためにあえて二軍で鍛え直すと選択した以上、28日の登板ではチームの育成力が問われる。5勝20敗1分と苦しむチーム状況を考えると、「内容」だけではなく、「結果」も求められるだろう。
「西は高校時代から派手なガッツポーズを見せていました。勝てば、低迷するチームの雰囲気も一掃してくれるのでは」(前出・同)
西が登板するファーム戦を全て見たわけではないが、ガッツポーズは封印していたようだったが…。
他球団だが、岡山・創志学園高校時代を知るスカウトマンがこう言う。
「感情の起伏が激しいところもありました。うまくいかないとイラッとし、それが投球にも悪影響を及ぼしていました。精神面でも成長できていれば、きっと…」
ヤクルトに敗れた23日だった。「13・5」という数字が重くのしかかっていた。この数字は同時点での首位巨人とのゲーム差だが、阪神には13ゲーム差をひっくり返されて優勝を逃した“08年のトラウマ”もある。以来、「13ゲーム差までは逆転可能」とするヘンな目安みたいなものも浸透しており、その圏外に脱落してしまったのである。
西の先発が決定的となった4月25日時点での巨人とのゲーム差は「12・5」。圏内に復活した。一軍練習日に矢野燿大監督の姿は確認できなかったが、次世代のエース候補を何がなんでも勝たせてやらなければならない。(スポーツライター・飯山満)