その筆頭が楠本泰史。昨年は4年目にして76試合に出場し、打率.254、ホームラン2本とキャリアハイをマーク。特に代打では.295と結果を出すことに成功し、ひと皮剥けた印象を残した。
さらなる飛躍に向けて、秋季トレーニングから合流している鈴木尚典コーチに様々な質問を投げかけ「バッティングの“間”。先に自分の形を作って、相手のボールが来るのを少しでも長く待てるかが一番大切にされていた」との答えを反すう。沖縄で結果が芳しくないときも「考えすぎているのでは。考える前に打ちにいけ」とのアドバイスで打撃は復調し、オープン戦では「本能で打つを合言葉にして取り組んでいます!」と同じ左打者で首位打者2回獲得のレジェンドの教えを胸に刻んだ。
また「秋にやっていた(バットの)振り込みを春のキャンプでもやった。春にあれだけ振り込むことはなかったので身体はきつかった」と振り返るが「1カ月もやれば当たり前になった。試合が終わってからスイングももっと振らないと」とマインドも体力面も強化した。
結果打率.464、OPS1.143、得点圏打率はちょうど5割と大躍進。北海道でのオープン戦では、伊藤大海の追い込まれてからのスプリットをレフトに運んで二塁へ(記録はヒット)。次打席では球速測定不能のスローカーブをためにためてセンターに弾き返すなど、天才的なバットコントロールと本能をかけ合わせたバッティングを披露し最後のアピールに成功した。
2019年のオープン戦でも首位打者を獲得し、佐野恵太とともにベイスターズの明日を担う存在として注目を浴びていた楠本泰史。尚典の教えを元に、5年目の今年こそ満開の花を咲かせる。
取材・文・写真 / 萩原孝弘