【最優秀2歳牡馬】
この原稿を執筆している時点で、朝日杯FSとホープフルSの結果は出ておらず、具体的な馬の名前を挙げることはできないが、今年の出走予定メンバーを見る限り、朝日杯FSの勝ち馬が最優秀2歳牡馬に輝くのではないだろうか。
【最優秀2歳牝馬】
ここは文句なしで、阪神JFを勝利したサークルオブライフだろう。デビュー戦こそ敗れたものの、その後は未勝利→アルテミスS→阪神JFと3連勝でGIを勝利したことはもちろんのこと、阪神JFの出走メンバーは現時点でこの世代のトップレベルの馬たちが集まっていたこともあり、文句なしでの受賞となるだろう。
【最優秀3歳牡馬】
ここは皐月賞、天皇賞(秋)を制したエフフォーリアだろう。天皇賞(秋)ではグランアレグリアやコントレイルを破っており、それも高評価のポイント。ただ、有馬記念にはエフフォーリア以外にも菊花賞を制したタイトルホルダーが出走を予定しており、そこでタイトルホルダーが強い勝ち方をするようだと混戦になる可能性も残されている。
【最優秀3歳牝馬】
牝馬3冠は3頭が分け合い、この賞は非常に難解。白毛という話題性もあり、昨年最優秀2歳牝馬の賞を受賞したソダシが一歩リードか。今年も桜花賞をレコードで制し、夏には札幌記念でラヴズオンリーユーを破って優勝しており、結果も出している。ただ、オークスは8着に敗れ、秋華賞でも10着、新境地を求めたチャンピオンズCでも12着と今年後半の失速が気になる。オークスを勝ったユーバーレーベンは、ジャパンCで6着と3歳牝馬としては頑張ったが、今年オークス以外の勝利はなくインパクトが弱い。3冠最後の秋華賞を制したアカイトリノムスメは、桜花賞で4着、オークスで2着と3冠で一番安定した成績を残した。エリザベス女王杯では7着に敗れたが、3歳馬としては2着ステラリアに次ぐ2番目で、着差はステラリアからクビ+クビ+ハナ+クビ+クビと僅か。以上のことから古馬を破って重賞制覇したソダシか、3冠ですべて上位に来たアカイトリノムスメの争いになると見られるが、ラヴズオンリーユーを破って札幌記念を制覇したソダシが優勢と見る。
【最優秀4歳以上牡馬】
今年中央でGIを制した4歳以上牡馬は、カフェファラオ、ダノンスマッシュ、ワールドプレミア、ダノンキングリー、コントレイル、テーオーケインズだが、過去の受賞歴から見ると芝馬が断然で、そうなるとダノンスマッシュ、ワールドプレミア、ダノンキングリー、コントレイルの争いか。この中で一番インパクトがあったのがジャパンCを制したコントレイル。勝利こそジャパンCのみだったが、大阪杯で3着、天皇賞(秋)で2着とすべてGIで複勝圏内に入っており、実績は最上位。一発があるとすれば香港ヴァーズを勝ったグローリーヴェイズだが、今年中央で勝利はなく厳しいか。
【最優秀4歳以上牝馬】
現時点で中央GI2勝は、ヴィクトリアマイルとマイルCSを勝ったグランアレグリアのみだが、有馬記念をクロノジェネシスが制すれば宝塚記念と有馬記念のGⅠ2勝。クロノジェネシスはドバイシーマCで2着に入った実績もあり、甲乙つけがたい。が、今年は中央GⅠ勝ちこそないものの、クイーンエリザベス2世CやブリーダーズCフィリー&メアターフ、香港Cを制したラヴズオンリーユーがいる。特にブリーダーズCフィリー&メアターフの勝利は、歴史的快挙ということを考えれば、ラヴズオンリーユーが受賞する可能性が高いと見る。
【最優秀短距離馬】
ここは文句なしで、ヴィクトリアマイルとマイルCSを勝ったグランアレグリアだろう。マイル以下でのGI2勝以上は唯一で、敗れたものの安田記念でも2着と芝のマイルGIで全て連対をしており、満票に近い受賞の可能性も。
【最優秀ダートホース】
ここは帝王賞を制し、チャンピオンズCで強い勝ち方をしたテーオーケインズで決まりだろう。
【最優秀障害馬】
中山大障害の結果がまだ出ていないため、その結果次第だが、春に中山GJで2着馬に0秒7差つけて勝ったメイショウダッサイが最有力。
さて、各部門が出揃い、いよいよ年度代表馬を考えてみよう。
【年度代表馬】
有馬記念の結果で決まるといっても過言ではないほど混戦の年度代表馬。まずはGI勝利数を見ていくと、今年GIを2勝した馬は皐月賞、天皇賞(秋)を勝ったエフフォーリアと、ヴィクトリアマイル、マイルCSを勝ったグランアレグリアの2頭のみ。そこに割って入るのが国内GI勝ちはないものの、クイーンエリザベスII世C、ブリーダーズCフィリー&メアターフ、香港Cと海外GIを3勝したラヴズオンリーユー。GI勝利数ではラヴズオンリーユー一択だが、エフフォーリアは有馬記念に出走予定で勝利すればGI3勝で並ぶ。そうなると争点は国内GI3勝のエフフォーリアか、海外GI3勝のラヴズオンリーユーかということになる。過去に似たような年があった。それは1999年で、その年は天皇賞(春)、(秋)、ジャパンCとGIを3勝したスペシャルウィーク。宝塚記念、有馬記念とグランプリを連勝したグラスワンダー。サンクルー大賞を勝利し、凱旋門賞で2着となったエルコンドルパサーの3強の争いだった。GI勝利数ではスペシャルウィークに軍配が上がるが、宝塚記念と有馬記念でグラスワンダーとの直接対決に敗れており論点になった。ただ、スペシャルウィークは両レースとも2着で年間を通して活躍したこともあり、ここはスペシャルウィークに軍配が上がった。だが、結果としてはまだ海外遠征のハードルが高い時代に1年を通してフランスへの長期遠征を行い、サンクルー大賞で歴史的勝利を収め、日本のホースマンの悲願である凱旋門賞で2着の結果を残したエルコンドルパサーが年度代表馬の称号を手にした。これには、その年に国内で1度も走っていない馬が年度代表馬に輝くのは如何なることかと大論争になった。ただ、今回のラヴズオンリーユーは国内GIは勝っていない(そもそも出走していない)ものの、京都記念(GII)を勝利しており、そして何と言っても日本馬初の米・ブリーダーズCフィリー&メアターフに勝利したことが大きく評価されることだろう。エフフォーリアに付け入る隙があるとすれば、有馬記念を勝利することを前提として、3歳馬による天皇賞(秋)と有馬記念の勝利をどう評価されるかだろうだが、やはり海外GI3勝、それも歴史的快挙とラヴズオンリーユーに分があると見て、年度代表馬にはラヴズオンリーユーが輝くのではないだろうか。
以上のように、2021年JRA賞を勝手に予想してみたが、実際に受賞するのはどの馬か。読者の皆様もMyJRA賞を考えてみては!
<プロフィール>
ハッシー
山梨県出身。北海道・浦河にある生産牧場での牧童経験を活かし、馬の適性を見極める。特技は寝わら上げ。本サイト毎週火曜掲載の「ハッシーの地方競馬セレクション」、金曜掲載の「ハッシーの中央競馬新馬セレクション」、土曜掲載の「ハッシーのロックオン~狙ったレースは逃さない!~」を担当している。