巨人の育成選手・山下航汰外野手(21)が自由契約となり、退団することになった。しかし、この一報が飛び込んできたとき、「やっぱり…」と思ったG番記者も実は少なくなかったのだ。
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「ヤバイとは思っていました。社会人、独立リーグチームとの試合が多い三軍戦とはいえ、山下は打率3割6分を超えていました。なのに、二軍戦にはあまり出場できなかったので」
山下の成績だが、三軍では打率3割6分6厘(48試合)。二軍では2割2分6厘(21試合)となっている。ルーキーイヤーだった2019年、いきなりイースタン・リーグの首位打者となり、高卒1年目でのファーム首位打者はあのイチロー以来27年ぶり。支配下登録も勝ち取り、ファンも大きな期待を寄せていた。2年目は怪我に泣かされ、3年目の今季は「主に三軍戦」という状態だった。
「山下が解雇されたのはあくまでも手続き上の問題で、球団は育成枠で再契約する旨も同時に伝えていました。巨人を出て、他球団で支配下をめざすというのは、山下自身の選択です」(取材記者)
「このままでは支配下はもちろん、一軍戦に出場できない」と思ったのだろう。
しかし、どのプロ野球球団ファンもそうなのだが、途中加入してきた選手が活躍するよりも、生え抜きの若手が一軍戦力に上り詰めていくのを見たいと思っている。
山下の退団は衝撃的だったが、こんな情報も聞かれた。
「巨人スカウトたちは、外野手を探しているんです。昨年のドラフト会議で佐藤輝明(現阪神)を外野手で指名しようとしたように、左打ちの外野手が欲しいみたいで」(ライバル球団スタッフ)
左打ちの外野手。右投げ左打ちの山下を慰留させるべきだったのでは…。
もっとも、外野手を探している話を詳しく聞いてみると、大砲タイプだという。
「ほとんどの球団が、外野手には長打力を求めています。外国人選手を獲得するためにわざわざその一角を空けておく球団もあるくらいです。打撃優先でコンバートさせる選手も、まずは外野守備をテストされます」(プロ野球解説者)
打撃優先のポジションというわけだ。
その意味で考えると、秋季練習で外野守備の重要さを提唱した日本ハムの新庄剛志新監督は、プロ野球界に一石を投じたとも言える。
巨人は今秋のドラフト会議で育成を含め、3人の外野手を指名した。どんな選手に育てていこうとしているのか、また、指名された選手自身もどういう選手になって活躍したいのか、明確な目標を持つべきである。
日本シリーズ終了後、フリーエージェント権を持つ選手が行使するか否かの受け付けが始まり、その後で解雇選手を含めた補強・獲得交渉もスタートする。ヤクルト、オリックスともにスタメンメンバーのほとんどが生え抜き選手だ。チャンスに恵まれなかった選手たちは複雑な心境だろう。(スポーツライター・飯山満)