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非接種者への差別が始まる? ドイツ、非接種者は店内飲食やジム利用のハードルが上がる

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 日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が進みつつあるが、一足先にワクチンの供給を広く進めてきたドイツは、ここにきて接種率が鈍化しているという。こういった事態を受け、ドイツは様々な策を進めることとなったが、それによってワクチン非接種者への差別のようなものも横行しているようだ。

 ドイツの27日現在のワクチン接種率は2回目の接種を終えた人が全人口の約65パーセント。1日当たりの新規感染者こそ1万3000人ほどいるが、死亡者数は20人前後で、ピーク時の昨年12月の死亡者数が1000人前後だったことを考えると、2回目の接種率が半数を超えた6月中旬あたりから死亡者数の数は大幅に減ってきた。死亡者数の減少はワクチン接種が広まったことも一つの要因といえよう。7月くらいまではワクチン接種の予約を取ることが難しかったが、現在は対象年齢であれば予約なしで接種が可能だ。

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 とはいえ、8月中旬から接種率の伸びが鈍化した。政府はそれを受け、週末には大型スーパーマーケットや広場などにテントを出し予約なしでその場で接種できるキャンペーンなどを展開するほか、街中には接種を促すポスターが張られることとなった。

 しかしいまだにワクチン接種に対して否定的人たちが一定数いるため、政府はワクチン接種促進に向けてさらなる策を強化。これまで無料だったPCR検査が10月から有料になるほか、7日間の人口10万人当たりの感染者数が35人以上になった州では、ワクチン非接種者は陰性証明書を取得し、提示しなければ公共の施設の利用ができなくなった。ワクチン接種者は証明書があれば通常通り公共の場を使用できる。証明書は接種手帳のほか、パソコンやスマートフォンでQRコードをダウンロードして取得できる。
 
 公共の施設とは、具体的には飲食店の屋内や美容院、マッサージ店、スポーツジム、プール、サウナ、宿泊施設、病院(訪問)、コンサート会場やメッセなどの屋内の施設などが挙げられる。これらの施設は国から指示を受け、それぞれの場所のスタッフが一人ひとりに対してワクチン接種の証明書があるか、陰性証明書を持っているかの確認を行う。こういった政府の対策には「ワクチンの接種をしたのだからそれなりの恩恵が欲しい」というワクチン接種者からの声がある一方で、「ワクチン非接種者を排除しようとしている」「人権を無視した政策。いつの時代だ」というワクチン非接種者からの批判の声もある。

 実際のところ、ドイツではワクチン非接種者が差別的な扱いを受けていると語る人も多くいる。ワクチン非接種の20代ドイツ人女性は、複数人が集まる場に行くとワクチンを接種したかという話題に必ずなるといい、「非接種だと言うとコロナ収束のために協力していないという言い方をされ、居心地は悪い」と明かす。また別の30代ドイツ人男性は、ワクチンをまだ接種していないことを上司に問い詰められ、「いずれは打つ予定」とはぐらかすと「明日、○○の会場で予約が可能だからした方がいい」と言われて、結局その場でワクチンの予約をすることになったそうだ。ハラスメントにならないよう、上司は言い方に気をつけていたそうだが「あからさまな圧力を受けた」と怒りを込めた。

 さらに別の30代ドイツ人男性はワクチンを打っておらず、近しい人たちから嫌厭される経験をしたそうだ。男性は趣味で仲間とサッカーをしていたが、接種がまだだと明かすと、陰性証明書があってもサッカーへの参加を拒否されたという。男性は「今、ワクチンの非接種者は間違いなく生活がしにくい。友だちも失う」と悲しそうに話す。

 コロナ禍を抑えるためにはワクチンの接種は避けては通れない道であろう。ドイツでは政府がワクチン接種促進に舵を切ったが、それによって非接種者への差別が生まれるという問題が発生しているようだ。

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