劇団出身とあって、舞台役者としての実力も兼ね備えている。ドラマに映画に舞台にと、演者として長きにわたって幅広く活動しているため、有名人との交友も驚くような幅広さだ。
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意外なのは所属事務所だ。大手芸能プロダクションではなく、大竹まことらシティボーイズが創立したASH&D(アッシュ・アンド・ディー)コーポレーション。所属タレントとスタッフ総勢で20名ほどの零細会社。18年の「女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝した阿佐ヶ谷姉妹、「キングオブコント」ファイナリスト常連のザ・ギース、ラブレターズなども籍を置いているが、新人芸人はわずか3組。量より質を重んじる芸能プロだ。
お笑い事情に詳しい芸能記者が言う。
「少数精鋭だけあってアットホーム。給料日はみんなが事務所まで受け取りに行きます。生存確認の意味で、あえてそうしているそうです。あと、窓にカーテンがないとか、トイレの電球のワット数が低いので薄暗いとか、漏れてくる不満の声はその程度(笑)」
恒例行事が多く新年会や忘年会、麻雀大会などがある。かつてはクリスマスの日にファンが参加できるカラオケ大会を開催。チケットは即完している。
オーディションを行なわないのが基本理念。不定期で開く事務所ライブに出演して、その縁で所属に至るケースがある。阿佐ヶ谷姉妹はこのパターンだ。ほかに、所属タレントに憧れて全国から手紙やメールが寄せられる。そのなかからスタッフが直接面談するが、採用に至る例はごく少数。芸人にとっては、切磋琢磨できるライバル不在のため、危機感を抱いたザ・ギースの尾関高文はかつて水面下で、フリーランスだったラランドをスカウトしている。ラランドは断り続け、今年3月に個人事務所「レモンジャム」を設立した。
そんななか、芸人が肩を落とすイベントがあるという。
「ムロさんが若手ライブの司会をすることがあるそうです。客のほとんどが、ムロさん目当て。結果、ムロさんがオープニングで話した肩を痛めた実話がその日一番のウケ。芸人はやりがいを感じられないネタ見せライブです」(前出・芸能記者)
増えることもないが、減ることもないASH&D芸人。そのぶん妙な箔(はく)がついている。
芸人の本音はもはや、“打倒ムロ”かもしれない。
(伊藤由華)