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兵庫県にて「件(くだん)」が生まれた事を記した当時の報告書が発見!

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 新型コロナウイルス感染症の蔓延で、注目を集めた妖怪「アマビエ」。江戸時代に現在の熊本県の海に現れ、豊作とその後に疫病が広まる事を予言し、「自分の姿を絵に描いて広める」ように告げて去った妖怪だ。あくまで「自分の姿を絵に描け」と言っただけなのだが、同じような予言する妖怪「件(くだん)」の伝説がすでに世に広く知れ渡っていたため、アマビエの際も同様に絵に描くことで病気を防ぐことができると信じられるようになったのかもしれない。

 「件(くだん)」は人頭牛体の妖怪で、普通の牛から生まれてきて予言を行うが、その後にすぐ死んでしまう、という妖怪だ。江戸時代から何度か生まれてきたようで、有名な江戸時代に丹後国(京都府)に現れたという件について知らせるかわら版には、「豊作と疫病」を予言した件について書かれており、豊作という縁起の良いことを予言したため、「この件の姿を描いた絵を持っていれば家内安全、病気にならない」旨が記されていた。

 ​>>牛の体に人間の顔、くだんは不吉の前兆なのか?<<​​​

 さて、件の伝説は、恐らく人々が飼っていた牛から奇形の子どもが生まれた事が影響しているのではないかと見られている。現代でも家畜が不気味な奇形の子どもを生んだことがニュースになったりするので、当時の人々が感じた恐怖や驚異は相当なものがあったことは想像に難くない。だが、当時の件の報告については、かわら版等による風聞が混じった記述が多く、本当に牛から生まれた詳細が記されている文献はなかなか見つかっていなかった。

 ところがつい先日、兵庫県立歴史博物館にて、「牛から件が生まれた」事を伝える当時の報告書とも言うべき図絵が所蔵品の中から発見されて、Twitterで注目を集めることとなった。今回発見された件の図絵は、城郭研究で知られる鳥羽正雄博士の旧蔵品の中に含まれていたもので、博物館にて妖怪を扱う特別展「驚異と怪異」展が開催されるにあたり、再発見されたものだという。安政七年(1860)3月12日に、現在の岡山県備前市にて飼われていた牛が産み落としたことが書かれており、頭や胴など体の各部位を細かく採寸し、件の姿を細密に写した絵も添えられているもので、恐らく当時の報告書だと考えられるもの。この絵は非常に特徴をよく捉えており、問題の「件」は現代でも家畜で度々報告される、先天性疾患による奇形で生まれてきた仔牛だったのではないかと見られている。

 兵庫県立歴史博物館では、この「件」の文献を急遽特別展にて公開することを決定したという。特別展「驚異と怪異-モンスターたちは告げる-」は6月23日(火)~8月16日(日)まで開催予定(休館日あり)。興味がある人は是非足を運んでみてはいかがだろうか。

公式Twitter
驚異と怪異-モンスターたちは告げる-公式
@kyouikaii_hyogo
https://twitter.com/kyouikaii_hyogo

(山口敏太郎)

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