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病気、災害、人の心の弱みにつけ込む悪徳霊能者や霊感商法

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山口敏太郎

 病気や災害などが発生すると、どうしても人は不安を抱き、心が弱ってしまう。そんな人の弱みにつけこんだ霊感商法はいつの時代も人々を苦しめてきた。

 カルト教団や悪徳霊能者による霊感商法・洗脳と、占い師による占いや自社仏閣によるお祓(はら)いの違いだが、正直言ってあまりない。科学的な根拠がないという点では同じである。極論ではあるが、神社からもらうお札や、寺院で購入するお守りの効果は科学的に立証されたものではない。
 ではなぜ筆者が、神社・仏閣や町の占い師を勧めて、もったいぶった悪徳霊能者を批判するかというと、その違いは動く金額にあると思う。お金とは人間を救う場合もあるが、破滅に追い込む場合もあることをもう一度自覚してもらいたい。莫大な金を徴収する霊能者や団体も問題だと判断しているのだ。

 街角で占いのおばさんに鑑定してもらっても、せいぜい数千円から数万円であり、ちょっとした時間つぶしや迷ったときに背中を押してもらう金額としては適度な価格である。また、お寺でのお祓いや読経でも、お布施として包むのは数万円である。つまり、世の中の一般常識の金額の範囲内であり、その人の経済事情に致命的なダメージを与えない金額である。これぐらいの金額なら、まったく問題はないだろう。

 身内が亡くなった時に、お金持ちの依頼者が高僧に頼んで戒名や読経をしてもらうことがまれにあるだろう。それであったとしても数十万円の範ちゅうであり、百万を超えることはほとんどない。この程度の金額ならば、依頼者が破綻することもない。いや、そもそも既存の神社寺院はその人の経済状況に合わせて、葬儀や法事、お祓いができるように体制を整えており、依頼者が困窮することはない。

 ところが、悪徳霊能者やカルト教団の中には、一般家庭の相談者に数百万、数千万を請求する連中がおり、支払い能力がない場合はローンを組ませて払わせるというのだから、驚きである。心が弱っている人間を助けると言いながら、相手にローンを組ませて利益を得るとはまさに鬼畜の振る舞いではないか。結局そのローンが払いきれず自己破産や夜逃げ、自殺に追い込まれる被害者がいる。これは明らかに犯罪である。人々の屍の上に立つ悪徳霊能者やカルト集団を許してはならない。

 街角の占いで数千円、数万円使うぐらいならば、大きな社会問題になることはない。それは占いという人類最古のエンターテインメントの料金としては”適切な価格”だと思える。恋に悩む女の子や、仕事や人生で苦しむ中高年の相談口として”良心的な占い師”は必要である。市井の心の癒やしとしての役割を果たす、”良心的な占い師”はあってしかるべきであると筆者は思っている。

 だが、すがってくる相談者から財産や家土地を取り上げる悪徳霊能者やカルト団体は決して許すことはできない。

 筆者は、オカルトを小説や映画の素材となる健全なエンタメとして改善したいと思って活動しており、インチキはインチキ、嘘は嘘、勘違いやトリックが判明したオカルト事例に関してはその真実を伝えている。犯罪を取り締まる警察官は、犯罪者ではない。オカルトのインチキを暴露し、真実を伝えている筆者は、オカルトを悪用している悪党とは違うのだ。今後も奴らとの闘いはエンドレスで続くが、真の不思議、真のお役目に世界中の皆が気付く日まで、筆者の啓蒙活動は継続していくだろう。
(山口敏太郎)

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