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安倍政権vs検察 激化する秋元司衆院議員「保釈後」の暗闘劇

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提供:週刊実話

 安倍政権と稲田伸夫検事総長率いる検察が、それぞれの命運を賭け死闘に突入しつつある。他でもない、カジノなど複数の疑惑が噴出する安倍政権が政権寄りとされる黒川弘務東京高検検事長の「定年延長」を閣議決定したためだ。検察はこの「指揮権発動」ともいえる政治介入に猛反発、今後どう反撃に出るか大注目されている。

 全国紙司法担当記者が一連の経緯を説明する。

「官邸が黒川氏の定年延長を1月末に突然決めた。検察官の定年は検察庁法という特別法で定められ63歳が定年で、検事総長のみが65歳です。黒川氏は2月8日が誕生日。同日に63歳の定年を迎え、退官する予定でした。それを官邸は検察庁法を無視した国家公務員法を適用し、8月7日まで定年を半年間延した。狙いは黒川氏の次期検事総長睨みといわれています」

 というのも、黒川氏といえば“安倍政権のお庭番”行政に長けた法務省・検察庁内の検察官派閥である赤レンガ派(対するは捜査現場派)、官邸との付き合いは深い。特に、菅官房長官とはツーカーの仲だ。

 2014年、小渕優子経産相(当時)の公職選挙法違反疑惑事件、’16年の甘利明経済再生相(同)のUR都市再生機構への口利きワイロ疑惑など政治家本人へ踏み込めなかったのは黒川氏の影響と囁かれてきた。

 そんな黒川氏はともかく、最近の検察は森本宏東京地検特捜部長という特捜のエース中のエースを使い、政権腐敗の膿を出す捜査に一気に動き出していた。

「カジノ疑惑で秋元司衆院議員逮捕という10年ぶりの政治家摘発に踏み込んだ。しかも、秋元逮捕は入り口で『本丸は自民党大物』という声さえ聞こえる。さらに、広島地検は河井克行前法相、妻の河井案里参院議員の選挙違反容疑を追い詰めている。稲田総長―森本特捜部長ラインは、田中角栄元首相を逮捕したロッキード事件を彷彿とさせる政権腐敗に鋭いメスを入れ始めた矢先でした」(同)

 稲田検事総長は任期2年の慣例に従えば、今夏に引退だ。その稲田氏が次期検事総長と思い描いていたのは政権べったりの黒川氏ではなく、林真琴名古屋高検検事長だった。稲田氏は4月の国際会議を花道に林氏が63歳になる7月前に退官し、次期検事総長を譲る方向を模索していた。

 稲田検察を苦々しく思っていた安倍政権にとって、政界捜査に前のめりの稲田ラインを封じ込めるためにも官邸と気脈を通じる黒川体制が望ましい。黒川氏はポスト検事総長席といわれる東京高検検事長に上り詰めたが、定年という壁に阻まれていたのだ。

「安倍官邸は稲田構想を内々に止めたかった。昨年11月、稲田氏に年内引退を促し、2月で定年する黒川氏にポストを譲る提案をした。当然、稲田氏は一蹴した。官邸の思惑に反発した稲田ラインはIRカジノと河井夫婦の捜査にイケイケとなったのです。このまま稲田検察を放置すれば政権中枢がズタズタにされる――そう危機感を持った安倍官邸は検察庁法を無視し、国家公務員法を使い黒川氏の定年延長を決めた。その手法は法曹界では脱法行為、事実上の指揮権発動の声が強い」(法務省関係者)

 今夏、黒川検事総長誕生は濃厚になった。しかし、このままでは最強捜査機関を率いる稲田検事総長のメンツは丸潰れ。そこで密かに囁かれているのが稲田検察の反撃説だ。
「手段は3通り」
 検察関係者はそう語る。

「黒川氏のスキャンダルを総ざらいしているという情報が飛んでいる。稲田検察は官邸がそこまで露骨にやるなら目には目を、歯には歯をだ。’99年、当時の則定衛東京高検検事長は愛人ホステス・スキャンダルが月刊誌『噂の真相』に報じられ、検事総長目前で辞任に追い込まれた。黒川氏の政界癒着を中心に徹底して調べ始めたようです」

 2つ目はこうだ。
「検事総長任期は2年が慣例で稲田検事総長も今夏退官予定だが、年齢はその時点で64歳。だから退官勧奨を拒否、検察庁法に定められた65歳定年をキープすれば来年8月の誕生日まで続投できる論法だ。そうすると、黒川氏の定年延長は最長1年なので検事総長の目は消える」(同)
 ただ、この手法では稲田検事総長が引き継がせたい林氏の総長就任を強行できないリスクを伴う。

 3つ目は司法取引。
「官邸の“黒川検事総長誕生”バックアップ人事とリンクし、カジノ疑惑の秋元被告は検察の抗議もむなしく保釈され、徹底抗戦の会見まで開いた。カジノ政界捜査と河井前法相夫妻捜査も一気にトーンダウンした感がある。だが、特捜内では『強権発動に屈せず、政界捜査を強気で進めるべき』という意見が根強い。特に、カジノ捜査で森本特捜部長が駆使する司法取引を秋元被告とやるべしの機運が高まっている。秋元被告は『2000万円を懐にした奴もいる』と周囲に漏らしていた。それを逆手に秋元被告に刑軽減をにおわせ、本丸を追い詰める手法を模索する案だ」(同)

 安倍官邸は今回の黒川氏の定年延長で“勝負あり”と見ている。

「黒川検察体制を確固なものにさせるため、稲田ラインが従うなら何らかのポストで優遇する“新たな飴”を準備しはじめた。一方、最後まで抵抗する稲田ラインは若手に至るまで徹底的な粛清をチラつかせるでしょう」(政界事情通)

 検察は法の番人か役人か。

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