背番号が100から95へ。年俸240万円から440万円にアップ。新たに契約金1000万円ももらえ、サクセス・ストリー扱いだが、育成制度本来の狙いから外れていると、巨人のやり方を批判する声が起こっている。
一昨年の山口鉄也、昨年の松本哲也と、2年連続して巨人の育成ドラフト出身の選手はセ・リーグの新人王を獲得。球団フロント首脳は、「育成の巨人」と胸を張っている。今年の星野の支配下登録もその一環といえる。が、「育成制度を悪用している」と憤慨する球界関係者も少なくない。
育成選手制度ができた本来の狙いはこうだ。「すぐに一、二軍合わせて70人の支配下選手枠に入るのは無理でも、2、3年鍛えれば、支配下枠に入れるような面白い素材の選手を育てる制度を作ろう」ということだった。が、すぐに支配下選手登録できるような選手を育成ドラフトで取るのは、「年俸を抑えて安く取るという、悪質な裏技で邪道だろう」と、前出の球界関係者たちは怒るのだ。確かに正論だろう。
それなりの契約金、年俸を支払って正規のドラフト会議で獲得した選手が一軍で働かず、育成選手が目立つのは異常事態と言える。「育成枠から一軍へ上がって活躍する選手は偉いし、賞賛に値する。が、育成制度そのものは、おかしな制度になってしまっている」というのも、これまた拝聴に値する言葉だろう。
育成枠から新人王の山口、松本はたいしたものだから手放しで絶賛できる。が、その一方で大騒ぎされて入団しながら、いまだに一軍に定着できない野間口、辻内、福田らはどうなっているのか。こういうアマ球界で大物選手として注目された選手が一流になってこそ「育成の巨人」だろう。現在の本末転倒の「育成の巨人」は、まやかしの看板でしかない。