満月と新月前後で、月の引力に影響が出る場合、いわゆる「潮汐力」として、地球の海水面が月の引力で引っ張られ、地球の見かけの形は楕円体となる。その海水面と同様に、固体の大陸もこの力で縦横にかき乱される。
つとに有名なのが、木星の衛星イオである。木星からの巨大な潮汐力によって、自転軸方向と赤道方向に拡大・縮小される結果、イオは太陽系で唯一、火山のある衛星となっている。
これと同様のことが地球でも起きているとなると、海だけでなく大陸も、いわばマグマの上に漂う固体であるので、その力を受けざるを得ない。
先ごろ、巨大地震の最後のトリガーを引く可能性が最も高いのは「月の引力」だというニュースが公表されていた。実は満月の引力は、太陽の引力との相互作用で、地上では高速で回転する円盤物体は垂直方向に「コリオリの力」が発生し浮き上がると言われているが、通常は、台風やハリケーンのような巨大な渦だけで発生すると考えられ、ミクロな現象、たとえば、北半球と南半球では渦の巻き方が逆だとかは、また別の理由で動作していると現代の物理学は説明しているものの、その理由に説得力があるかといえば、すべてに当てはまるとはいえない。このように現状、見えざる力「引力」や「重力」の相互作用で、未知の自然現象が生じているのかもしれない。
筆者は、北米のインディアン居留地にある動く石(岩)の謎は、月の引力による地表面のゆがみではないかと推測している。これは海水面ほど顕著なわけではないが、ある場所の地表面が引っ張られると、そこにある岩は四方八方に転がる、または外れるなどの現象が起きても不思議ではないと考えている。また、先のミクロな「コリオリの力」の発生で、岩が垂直方向に重なる現象も起こりうると思う。マクロなコリオリ力が水や大気に影響を与えているなら、同じようにプレートや断層帯にもズレるきっかけを与えたとしても不思議ではない。(中津川昴)