そんなメコン川沿いの「khem khong」通りにはレストランやカフェが立ち並び、夕焼けの反射で光る世界遺産の街を酒の肴に、多くの旅行者も顔を赤く染めている。陽が落ち、街の色がオレンジから電飾に変わると、主役も川沿いから1本隣の「sisavangvong」通りで催されるナイトマーケットへと変わる。
私もプーシーの丘で街を一望し、降りてきたその足でマーケットを歩き始めた。アジアのナイトマーケットと言うと、洋服や雑貨もあれば食べ物もある混沌としたイメージ。しかしここルアンパバーンはラオス伝統の織物や小物など服飾雑貨が商品のほとんどを占め、食欲を誘う屋台の香りではなく布の匂いが漂っている。この国全体に言えることだが値段相場も割と高めだ。もちろん値切りが前提なのだが、私は以前紹介したハノイにて50連続値切りを敢行し、すっかりノイローゼとなっており、「ラオスTシャツ」を言い値の500円で購入した。
売り子はそのジャンルもあってかほぼ全員が女性である。地べたに引いたゴザに腰を下ろし足を投げ出しながら呼び込みをしている。
「ん? 足を投げ出している?」
地球の歩き方を紹介する某ガイドブックには「ラオスでは宗教上の理由から足の裏を見せることは失礼に値するので気を付けよう」的なことが記されてあった。しかしそこの若い姉ちゃんは爪にマニキュアを塗って足の先までお洒落をしてしまっているし、隣のおばちゃんに関しては足の裏の黒ずみがはっきりと見えちゃっている。
足の爪の隅に挟まってる黒いやつまで見てしまったり、どの店も似たり寄ったりのラインナップでなんだか腑に落ちない結果となったが、とりあえずラオスでは宗教による縛りはあまり強くないことと、通りを歩くより丘をちょっと登った所から俯瞰で見た方がマーケットは綺麗だよ、ということが分かっただけで十分である。
國友俊介
【プロフィール】
國友俊介 (くにとも・しゅんすけ)
旅×格闘技、アジアを自転車で旅をしながら各地のジムを渡り歩いている。目標は世界遺産を見ることではなくあくまで強い男になること。日本では異性愛者でありながら新宿2丁目での勤務経験を持つ。他にも国内の様々なディープスポットに潜入している。
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