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日本ダービー ウオッカが64年ぶりの牝馬戴冠

 11年ぶりの牝馬の挑戦がミラクルを起こした!「第74回東京優駿(日本ダービー)」(JpnI 芝2400m)は27日、東京競馬場で行われ、紅一点のウオッカが中団から力強く抜け出し、牝馬では伝説の名牝クリフジ以来となる64年ぶりの優勝を飾った。勝ち時計は2分24秒5(良)。3馬身差の2着には伏兵アサクサキングスが逃げ粘り、断然の支持を集めたフサイチホウオーは見せ場なく7着に終わった。これで春の東京GI5連戦は1番人気が4連敗。またしても波乱の幕切れとなった。
 原因は決断力。もちろん、鞍上・四位の馬場のいいところいいところを通った手綱さばきは光った。ただ、それを上回ったのが、ウオッカをオークスではなくダービーに出走させた角居師の先見の明だった。
 桜花賞で2着に敗れた時点で「オークスでリベンジを」と取るのが“一般的”な調教師。が、角居師は「今年の牝馬は強い。桜花賞以上のデキなら」と、ダービーを選択した。傍(はた)から見れば、常軌を逸した“暴走トレーナー”というレッテルを張られる可能性すらあった。事実、新聞紙上には「なぜ、オークスを使わないのか?無謀な挑戦だ」という元調教師の懐疑的な文字が躍っていた。
 が、そこは“世界のスミイ”。シーザリオ(アメリカンオークス)、デルタブルース(メルボルンC)、ハットトリック(香港マイル)がもたらした絶大な経験値が、信念をもたらしたのだろう。「無謀な挑戦を支援してくれたオーナーに感謝。ただ、自分で選んだ道だから。この決断は相当悩んだが、ワクワクする方が強かった」。並みの調教師なら、こんな言葉は出てこない。
 もちろん、「こんな牝馬に巡り合えたことに感謝」と言うウオッカの男勝りの強さにも触れなければなるまい。フロックでこの時季の一線級の牡馬に3馬身差はつけられない。さらに、3着アドマイヤオーラの走破時計2分25秒3はオークスの勝ち時計と同じ。師がまじめな顔で「桜花賞で負かされた馬(ダイワスカーレット)はもっと強いのかも」と言うように、今年は牝馬>牡馬…常識を覆す“奇年”なのかも知れない。
 「ウオッカがオークスに出ていれば、オークスは勝てなかったけど、ダービーに出走していなければオレの馬が勝っていた」。オークスで優勝したローブデコルテに騎乗し、この日は2着に敗れたアサクサキングス=福永の談話が実に印象的だった。
 ウオッカは昨年にディープインパクトが挑戦した「凱旋門賞」(仏GI ロンシャン・芝2400m)にも登録している。この歴史的快挙もまだ通過点。“世界のスミイ”のあくなき挑戦はまだまだ続く。

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