現行ルールでは、リーグ優勝を果たしても、CS(クライマックス・シリーズ)を勝ち上がらなければ、日本シリーズには進出できないが、CSにおいては、2位、3位チームより、優勝チームが有利になるのは明らかだ。
楽天のリーグ制覇の可能性が高くなり、日本シリーズ進出に現実味が出てきたことで、NPB(日本野球機構)が頭を悩ませているというのだ。
というのも、楽天が日本シリーズに出た場合、「収支」が大きな問題になってくるからだ。公式戦やCSは試合を主催する球団の収益となるが、日本シリーズはNPBの最大の収入源なのだ。
参考までに、11年の日本シリーズ(ソフトバンクvs中日)では、15億6701万3100円の入場料収入があり、選手分配金は勝ったソフトバンクが1億2462万5839円、敗れた中日が8308万3892円だった。
楽天が本拠地とするKスタ宮城は現状、2万3466人の収容人員しかない。楽天が04年に新規参入時に公約した2万8000人の目標には、届いていないのだ。約束が守られていないため、楽天が日本シリーズに進出した場合、宮城での開催が疑問視される。場合によっては、東京ドームなど、他の球場での開催が浮上する可能性もある。
ただ、東日本大震災の復興支援の観点から、収容人員が目標に届いていないからといって、宮城以外での開催を楽天に求めることも難しい。
そうなると、収容能力の低い宮城で開催せざるを得なくなり、4万人規模の球場で開催するケースと比較すると、入場料収入が大きく「減収」してしまうのだ。これは、NPBにとっては由々しき問題。NPBとしては、「楽天には日本シリーズに出てほしくない」というのがホンネかもしれない。
(落合一郎)