そんななか、皮肉にも通夜当日に発売された「週刊新潮」が、またも鳴戸部屋の醜聞を伝えた。今度は故鳴戸親方のみならず、新鳴戸親方も弟子に暴行を加えていたと報じられたのだ。
同誌の記事によると、当時、部屋付き親方だった新鳴戸親方は、決められた時間までにちゃんこのメニューを決めなかったちゃんこ番の弟子を、ビールケースで頭を5、6発殴り、出血させたという。また、部屋を一度飛び出しながら、戻ってきた弟子の顔面を激しく殴打したと報じており、これは同部屋に所属していた元力士の証言をもとに書かれたとされる。
日本相撲協会は故鳴戸親方が5年前に、弟子を角材で殴打したことは事実と認めながらも、親方の死去により、疑惑調査の打ち切りを表明した。しかし、中川正春文部科学相は調査の継続を口にし、十両・隆の山がインスリンを注射した件も、このままでは終われそうにない。
ここにきて、さらに新鳴戸親方の暴行疑惑が浮上したとなると、協会が意図した幕引きとはいかないだろう。協会は再度、疑惑調査に乗り出す必要に迫られたといえる。次々に出てくる同部屋のスキャンダル。九州場所で大関獲りが懸かる稀勢の里にとっては、相撲に集中できぬ事態となってしまったようだ。
(落合一郎)