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日本に生息していた雪男?「異獣」

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 冬や雪山の妖怪と言えば雪女などが代表格だが、新潟県には雪男のような妖怪が出現したという記録が残されている。

 江戸時代の書物『北越雪譜』では、新潟県の山中に「異獣」という妖怪が住んでいたと紹介されている。

 サルに似た外見だが異質なところも多かったようだ。頭の毛は背中に垂れるほど長く、人間よりずっと背丈が高かったという。毛むくじゃらで、ぎょろりとした大きな目玉だけが見えるという。

 文献には、こんな記述がある。問屋で働いていた男が大量の荷物を背負い山を越えようとしていた。ひと休みしようとしたところでこの怪物と出くわしたという。怪物は恐ろしい姿をしていたが大人しく、彼の食べている弁当を欲しがるようなしぐさを見せたため、分けてやるとうれしそうに食べ始めたという。

 そして、改めて出発しようとすると妖怪は彼より先に荷物を背負い、山越えを手伝ってくれたという。山を越えると、怪物は風のように山の奥へと去っていったそうだ。近辺では同様の怪物が何度か目撃されており、人に食べ物をねだることもあったという。

 どちらかと言うとこのような妖怪は、ヒマラヤ山中の雪男など、世界中で目撃されているように未確認生物に近い印象を与える。危害を加えることなく、ある程度の意思疎通も可能で人間に友好的なあたりは非常に親しみやすさがある。

 この妖怪に似た特性を持つ妖怪として、お酒と引き換えに手伝いをしてくれる妖怪三吉鬼などがいる。また、1980年代には広島県で毛むくじゃらの大きな猿に似た「ヒバゴン」という未確認生物が目撃されている。サルの中には脳下垂体の異常で通常よりも大きく成長する個体も確認されている。新潟の異獣も、同様に成長異常が起きた個体だとみることもできる。

 もしかすると、今も日本の山の中には未知の巨大類人猿が生息しているのかもしれない。

(山口敏太郎)

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