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〈企業・経済深層レポート〉 アパート入居率の下落が本格化 レオパレス施工不良問題で倒産寸前

 賃貸アパート大手「レオパレス21」(以下、レオパレス)は、5月10日に深山英世社長が辞任することを発表した。同社はアパートの様々な施工不良が明るみになり、2019年3月期に巨額の特別損失を計上し、8年ぶりの最終赤字に陥っている。今後、レオパレスはどうなってしまうのか。

 まず、今回の経緯を振り返ってみる。
「事の発端は、テレビ東京系の経済ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け』(以下、ガイア)です。同番組が2017年12月から2019年3月までに、レオパレスの問題を指摘する放送を計4回行いました」(全国紙経済記者)

 まず、ガイアは2017年12月の放送にて、レオパレスの『サブリース解約問題』の実態を暴いた。サブリースとは、不動産管理会社などが住宅を一括で借り上げ、それを転貸するというもの。住宅所有者の多くは経営や管理などをすべて管理会社に任せながら、契約期間中は決まった金額が家賃収入として入ってくる仕組みだ。

 「レオパレスは『30年間の賃料保証』のうたい文句で、賃貸アパートの個人オーナーとサブリース契約を交わしていました。しかし、2009年頃から『契約から10年超のアパートは契約を解除』、『10年未満は家賃収入の大幅な減額』を求め始めたのです」(同)

 サブリース解約問題は、2011年頃から全国で発生している。実は、レオパレスは「終了プロジェクト」と称して、この暴挙を組織的に行っていた。

 「解約や契約内容の変更を拒んでも、日本の借地借家法では、借主のほうが有利な法律なので、レオパレスの言い分が強かった。そのため、オーナーらは泣く泣く契約を飲まざるを得なかったのです」(同)

 しかし、オーナーたちはサブリース問題に抗う中で、独自調査でアパートの違法建築問題を発見した。

 それが、2018年5月に放送されたガイアでも指摘された「界壁問題」だ。界壁とは、屋根裏の“部屋と部屋の境目に設置される壁”のことで、遮音や、火災時の被害を最小限に食い止める防火壁の役割がある。しかし、レオパレスが建設した一部のアパートに界壁が施工されていなかったことが判明した。

「界壁の施工不良は建築基準法違反に繋がります。それが発覚することを知ったレオパレスは、ガイアの放送直前に緊急会見を開き、建築基準法違反の疑いとその施工管理責任については認めながらも、施工不良の原因を『現場の施工業者の誤解と認識不足によるもの』と説明しました」(同)

 それでもレオパレスへの批判は強く、オーナーやメディアの追及も激化する。

 「レオパレスは、そうした動きに抗いきれないと判断したのか、今年2月に記者会見を開いて、全国で建設した賃貸アパート1324棟(入居者1万4443人)で施工不備があり、そのうち641棟(7782人)に対しては、天井関連での危険性が高いとして、早急の補修のため転居を要請する衝撃の発表に至りました」(不動産専門誌記者)

 今年3月には、外部調査委員会による中間報告が公表され、一連の施工不良が「創業者である深山祐助氏(深山英世社長の叔父)の指示によるもので、意図して組織的に行われた」と指摘している。

 「創業者の指示が不正につながっているのですから、創業家を切らなければ、経営再建なんて無理だと思います」(不動産オーナー)

 レオパレス側もそう判断したのか、冒頭の通り、今回の問題の責任を取る形で深山社長が辞任した。

 「しかし、補修が済み、再び入居者募集をできる状態になったとしても、一度地に落ちた信用を取り戻せるとは思えません」(同)

 実際、騒動が起きてから全国に約4万棟あるレオパレスの3月の入居率は全体で84・3%(対前年比マイナス9.4%)に下がっている。

 「レオパレスは法人契約が約6割。トラブルを嫌って契約更新しない法人が過半数を占めると思われますので、入居率の下落は今から本格化するでしょう」(不動産経営アナリスト)

 そうなると財務的にも、かなり厳しい状態に追い込まれることになる。

 「レオパレスの2018年6月時点で賃貸事業の売上は約4294億円ですが、オーナーに支払うサブリース賃料は年間約2780億円(月々約232億円)です。現預金が約786億円なので、仮にほとんどの物件が空室になった場合、4カ月もたないことになります。今まで何度も倒産寸前まで追い込まれたレオパレスですが、今回は難しいかもしれないですね」(同)

 レオパレスは5月9日に発売された『週刊文集』にて、新たな建築基準法違反疑惑を指摘されている。もはやレオパレスに、倒産を回避する手段はないのかもしれない。

 レオパレスが建設した賃貸アパート1324棟で施工不備が判明

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