川栄李奈はAKB48に11期生として加入。現在、グループに残る同期は小嶋菜月、名取稚菜。研究生当初から、運営から推されるメンバーであった川栄は、グループの冠番組「有吉AKB共和国」などで活躍。指原莉乃のソロ曲にも「アンリレ」(他は入山杏奈、加藤玲奈)として参加。さらに、フジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」での企画「抜き打ち学力テスト」では、ダントツの最下位となったことで、一般的にも名前が知られるメンバーとなった。そして、フジテレビの昼の帯番組「リポート&プレゼン情報バラエティ バイキング」のレギュラーとなった。
「バラエティでの勘の良さはグループでもトップクラス。指原莉乃や峯岸みなみにも引けをとらない実力があった。タレント性ではグループのトップであったはず。このまま、新世代のAKBの中心的なメンバーとなり、グループをけん引する存在になるはずだった」(アイドルライター)
地方グループの勢いに押され気味のAKB48にとって川栄は、新たな起爆剤であったはずだ。そんな順風満帆な川栄に大きな悲劇がおとずれる。それが2014年5月におこった全国握手会での傷害事件だ。この事件で川栄は、右手親指の骨折と裂傷という被害を受けた。その後、川栄が握手会に参加することはなくなった。そして、今年3月には卒業を発表。その時には、「演技をイチから勉強して自分の夢を追いかけたい」と語るとともに、「私は去年の事件から握手会に出れなくなって。やっぱりAKB48は握手会を大事にしているけれど、私は握手会に出れないしこれからも出れることはないし、どうしようかなと思っていた」との発言もあった。
怪我だけでなく、精神的なダメージが大きいことを川栄のコメントからファンは感じることも多かった。昨年8月にテレビ番組で「ヘビーローテーション」のセンターを担当した後には、「生きててよかったぁぁ」とコメント。その翌月には、トークライブアプリ「755」でファンから、「幽霊はこわい?」と聞かれ、「一番怖いのは人間ですけどね」と答えている。さらに、2日に開催された、さいたまスーパーアリーナでの卒業イベントでは、「これから先何がおこるかわからないから、やりたいことをやりたい時にやろうと思いました」と語った。事件の被害を受けた彼女から発せられる言葉としては、非常に重く感じたファンも少なくなかった。
AKB48は、今年中に総監督の高橋みなみが卒業することが決まっており、次期総監督には川栄とも親しい横山由依の就任も決定している。そして、新体制のチームでは、“次世代”と呼ばれる9期生以降のメンバーが要職につくことが決まっている。チームKの副キャプテンに島田晴香、チームBキャプテンに木崎ゆりあ、副キャプテンに大島涼花、チーム4キャプテンに高橋朱里、副キャプテンに岡田奈々。このメンバーの中に川栄の名前がないのがさびしく感じるファンも少なくない。なによりも、AKB48自体にとっても、非常に痛手である。川栄に並ぶタレント性を備えたメンバーは現状の若手では見当たらない。
今後の川栄李奈の活躍とともに、AKB48がどうやって川栄の穴を埋めるのかにも注目が集まっている。