大きさは数センチほどで、少し曲がった形をしている。全体的に黄土色から茶色へのグラデーションがかかっており、表面にはびっしりと細かい筋が縦に走っている。
先がやや欠けており、よくよく観察すれば人の手が加えられているわけではない事がわかる。一見したところでは石に近いが、どちらかと言えば骨に近い質感もある。果たして、この物体は何なのか。もしかして本当に妖怪、天狗の牙なのだろうか?
これは10数年ほど前、山口敏太郎がとある読者の方から譲り受けたものである。「天狗の牙」という名称は持ち主の親戚の老人が語っていたものであったという。
実はこの「天狗の牙」には「天狗」を裏付けるような面白いエピソードが残っている。
読者の親戚の老人の話によれば、老人はこの「天狗の牙」を第2次世界大戦の戦場に持っていったという。彼が配属された先は南方。敵国の弾が常に飛び交うまさに激戦地であったという。
彼はこの地で死を覚悟したが、この「天狗の牙」を懐に入れて戦地へ出たところ足が異様に速くなり、まったく弾が当たらずに済んだという。そのヒラリと弾をかわす様はまさに天狗のようだったという。
天狗の牙によって彼は「天狗の能力を手に入れた」ということであろうか…?
勿論本物ならば面白いのだが、実はこれは鑑定の結果、古代爬虫類のモササウルスの歯の化石という説が強いという。
現在、この「天狗の牙」は山口敏太郎事務所の「営業のお守り」のひとつとして、大切に保管されている。
(山口敏太郎事務所)