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【放送事故伝説】「ヤラセ」という言葉を広めた中学生暴行事件

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 日本テレビの人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』の「ヤラセ疑惑」が大きな話題になっている。疑惑を報じた週刊文春(文藝春秋)は第一弾としてラオスの「橋祭り」、第二弾としてタイの「カリフラワー祭り」を取り上げ、さらに女性セブン(小学館)は、「『イッテQ!』の全祭り中、11個が存在を確認できず」と報じている。

 さて、今回の報道をはじめ、いまや一般的な用語となっている「ヤラセ」だが、そもそもはテレビ局や新聞社などのマスコミでのみ使われていた「隠語」に近い存在だったとされている。そんな「ヤラセ」という言葉が全国に広まったのは、今から33年前のテレビ朝日系のワイドショー番組『アフタヌーンショー』での事件がきっかけとされている。

 『アフタヌーンショー』は1965年から放送が始まった長寿番組で、20年の長きに渡りテレ朝の朝の顔を務めていたが、番組内でヤラセ行為を行ったとして放送が打ち切り。ヤラセを指示したディレクターは逮捕され、テレビ朝日の社長が謝罪。テレビ朝日自体も放送免許を取り上げられる寸前にまで陥るという未曾有のピンチを迎えることになった。

 問題となった企画は『アフタヌーンショー』が1985年8月20日に放映した「激写! 中学生番長! セックスリンチ全告白」という企画で、担当ディレクターが「何か過激なシーンを撮りたい」と元暴走族リーダーに相談。元暴走族リーダーの音頭により、東京都福生市の多摩川河川敷に不良学生約60人余を集め、乱闘シーンを演じさせた。さらに、ディレクターは「女のリンチ場面が欲しい」と注文をつけ、地元の女子中学生5人に対し殴る蹴るの暴行をさせ、ディレクターはその模様を撮影した。

 また、ディレクターは元暴走族リーダーに14万円の取材費を渡していたことも明らかになり、東京都福生署は暴行に関わったとされる少女2名を暴行容疑、元暴走族リーダーとテレビ朝日ディレクターを暴行示唆で逮捕するに至った。

 この事件は当時「暴走するテレビ局」「地に落ちたテレビ局」と週刊誌などで報道され、この出来事をきっかけに「ヤラセ」という言葉が広まり、テレビ局のコンプライアンス問題が改めて浮き彫りになったとされている。

文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)

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