そのセントライト記念は、中団から人気のマイネルチャールズを目標に追走。3角から早めにマイネルが動くと間髪を入れずにスパート。計ったように1/2馬身差し切り、地力強化の跡をまざまざと見せつけている。
北村宏騎手は「追い出してから、すごくいい手応えだったので何とかなると思った。春より落ち着いてきているし、本番でも楽しみがある」とキッパリ。意欲満々の表情が印象的だった。
春はまだ素質に体力が追いつかず皐月賞、ダービー出走はかなわなかった。しかし、大器の片りんはうかがわせていた。1回東京の500万戦でマークした芝2400メートル2分25秒8(2着)は後のダービー馬ディープスカイより0秒9も速かったのだ。
そして、夏を境に素質開花。ついにセントライト記念で実を結んだのである。人気はオウケンブルースリに集まっているが、相手にとって不足はない。後塵を拝した前々走の阿賀野川特別(3着)当時から身も心もさらに成長を遂げているからだ。
陣営はデビュー前から、3000メートルの菊花賞に照準を合わせていた節がある。上原師がいみじくも言う。「引っ掛かる馬じゃないし、気性もおっとりしているから三千でも大丈夫。これまでも開催場で(意図的に)一番長い距離を使わせてもらった」
その信念を裏付けるようにここまで11戦を消化し、うち10戦は1800メートル以上(1600メートル1回)。全3勝を2200メートル以上で挙げている。以上のことから、ダイワワイルドボアこそ菊花賞の“秘密兵器”にふさわしい存在…といっても過言ではない。
1週前(16日)の追い切りは、美浦ポリトラックコースでラスト1F11秒5とケタ違いの切れ味を発揮。一段とパワーアップの跡を見せつけた。上原師は「来週は、もうサラッとやればいい」と満面に笑みを浮かべ、いまや遅しとゲートを待ちかねている。