偉大なる父マンハッタンカフェは同じく小島太厩舎に所属。そんなマンハッタンを間近で見守ってきた小島太師をして、「ただものではない!」といわしめてしまう超大器がメイショウレガーロだ。いよいよ重賞初参戦、クラシックへ向け、まずは初タイトルゲットを狙う。
「ぶっちゃけ、取りこぼしに近い」と鞍上の武幸騎手が振り返るデビュー戦こそ2着に甘んじたが、続く未勝利戦でトーセンクラウンなどを退けて危なげなく勝利。クラウンといえば、東スポ杯2歳S4着など重賞戦線でも活躍目覚ましい好素材だ。フサイチホウオー、そしてドリームジャーニーなどと好戦を演じた同馬を物差しにすれば、それだけでレガーロの能力の高さが分かるというもの。すでにG級の器であることは間違いない。
それを体現したのが前走のベゴニア賞。逃げ切り勝ちだった未勝利戦とは一転、中団やや前辺りでピタリと流れに乗ると、直線でも余裕を持って抜け出し、最後はマイネシャリマー以下を1馬身3/4突き放してしまったのだ。
手綱を取ったデットーリ騎手は言う。「ステッキを入れたら過敏に反応してしまったので、ムチはその一発だけ。でも、ものすごい反応をしてくれたし、いい脚を使ってくれたよ。今後が楽しみな勝ちっぷりだったね」。世界一と名高い名手をしてこの賛辞。もしビッシリ追えることができれば、そして休み明けの不利がなければ、いったいどれほどのパフォーマンスを演じていたのか、末恐ろしい限りである。
中間もいたって順調な調整が進められており、3日に行われた1週前追い切りでは5F65秒8→52秒4→38秒3→12秒8(Wコース)と出色の時計をマーク。暮れにも坂路で好時計を叩き出しているように、競馬を1度使われた効果は抜群だ。
小島太師はこの調整過程に「だいぶようなってきた。馬がいい感じになってきたな」。言葉少なながら、その笑顔が同馬の充実ぶりを如実にアピール。間違いなく、状態面は右肩上がりのカーブを描いていることだろう。
舞台は弥生賞と同じ中山2000m。初体験の距離ではあるが、「前走も余裕があったしな。本当に追うことができれば、ものすごい反応を見せてくれると思うぞ」と同師。条件うんぬんには触れることがなかったが、それこそが師の頭の中に不安のない証拠。名トレーナーはすでにいかに勝つかをイメージしているのだ。
常勝・藤沢和厩舎からシンボリクリスエスの弟ピサノデイラニの出走も決まっているが、父の果たせなかった春のクラシック制覇まで足踏みしている余裕はない。ここも単なる通過点、一気に皐月賞候補に名乗りを上げる公算だ。