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入山届義務化も意味ナシ 夏登山で危ぶまれる中高年の遭難

 万一の事故の際の遭難者早期発見を目的に、「入山届」を義務付ける山が多くなった。入山届は“登山計画書”ともいい、警察へ提出し家族にも通知する。基本的には提出は任意だが、自治体によっては特定の山岳に登山する際に義務付けている場合もある。しかし提出者は増えず、7割の登山者が未提出だという。
 「入山届を提出することで、遭難や行方不明時の初動捜索が容易になり救出されやすくなる。それでも提出者が増えない理由の一つに、自宅や携帯電話の番号を他人に知られることを嫌がる人が多いことが挙げられます」(登山雑誌記者)

 入山届の提出は、高山登山はもちろん、低山でも提出が望ましい。
 「奥多摩では去年の8月24日、中年男性が滑落し、全身30カ所を骨折、脳挫傷、肺挫傷などの重い傷を負ったものの、どうにか一命を取り留めるという事故がありました。男性は登山中、地面から突き出ていた大きな石を避けようとして、山側によけるのではなく谷側によけてしまい、真っ逆さまに転落してしまった。助かったのは、青梅警察署に入山届を提出していたことで発見が早かったからです」(社会部記者)

 奥多摩のようにハイキング気分で登る山でさえ、常に危険が伴い油断できないということだ。
 日本山岳協会ではこう注意を呼び掛ける。
 「何かあった場合、家族もどの山に登ったかもわからないのでは、警察は動きようがないのです。しかも、地元の消防団や山岳会に応援を要請する場合、一人当たりの日当が必要になりますが、捜索範囲が広くなると、それだけ家族が負担する費用も大きくなる。そうならないために、朝出掛けて夕方帰るような登山でも提出してほしい」

 携帯番号を知られることと、命のどちらが大切か。特に中高年の登山者が多くなった昨今は、登山者と同様に周囲も心構えが必要なのだ。

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