しかし予想を上回る回復力を発揮して、5月28日にジャイアンツ球場で行われる巨人相手の2軍戦で登板をすることが決定した。順調に投球を行うことが出来たら、早ければ交流戦が行われている間に1軍復帰の可能性も出てきたということで、要注目である。
今シーズン新入団した注目の新人投手のうち、5月28日現在では、福井優也(広島)が斎藤と同じく2勝0敗と、なかなかの活躍。沢村拓一(巨人)が、なかなか打線の援護に恵まれないこともあって、やや苦戦の1勝3敗。そして6球団から指名を受けた大石達也は残念ながら、まだ初登板を果たしていないので、佑ちゃんが再び1軍マウンドにおける今シーズンの新人投手の一番の主役になれるまだまだチャンスは十分にあるといえる。
しかしファンとしてどうしても気になってしまうのが、プロの試合での斎藤佑樹と田中将大(楽天)の投げ合いがいつ実現するか、であろう。あの甲子園の決勝戦の伝説の投げ合いは、早くも今年で5年前の夏ということになってしまう。
岩隈久志に続き、いまや楽天になくてはならない大黒柱のエースに成長した田中将大。新人だった4年前には楽天の投手陣の中で唯一先発ローテーションを守りきり、11勝を挙げて新人王に輝いている。斎藤も2ケタ勝利はともかくとしても、まだまだパ・リーグ新人王を狙えるチャンスは十分にあるのではないだろうか?
時々聞かれるのが、斎藤はやはり高校卒業後に田中と同じように、すぐにプロ入りした方が良かったのではないか? 甲子園で投げ合った、あの時が斎藤の全盛期だったのでないか? といった声である。
真偽はともかくとして、やはりそれだけ2006年の甲子園決勝戦における両者の投げ合いが伝説と化している証拠ではないだろうか。江川卓(元・巨人)がプロ入り前の高校時代の時に完全試合を何度も達成して、通算防御率が0点代という伝説的な成績を残したので、江川の全盛期は巨人時代ではなくて、作新学院時代だったといわれる話に似ているかもしれない。
初登板ではプロの洗礼を浴びてKOとなった田中に対して、見事に初登板で今季新人投手初勝利を達成した斎藤。しかし終わってみれば新人王に輝いていた田中。
二人とも確実に何かを持っている、ハンカチ王子・佑ちゃんvs神の子・マー君。
まずは佑ちゃんに順調に1軍に復帰してもらって、この5年ぶりの伝説の熱戦を再び目撃したいものだ。
(伊藤博樹 山口敏太郎事務所)